NFLとは
NFL(全米フットボール協会:アメリカンフットボール)はMLB(メジャーリーグベースボール:野球)とNBA(全米バスケットボール協会)と並んぶアメリカ3大スポーツの一つです。
アメリカンフットボールはプレーヤー間の接触のある代表的なコリジョンスポーツです。
力を抑制せず相手選手に直接接触する形式のフルコンタクトスポーツのため、ケガが高頻度で発生する上に、脳震盪や脊髄損傷など、重症度の高いケガのリスクも潜んでいます。
チームを支えるチーム -試合当日の30名のメディカルスタッフー
今回紹介するのは、NFLで公表された試合当日の30名のメディカルスタッフです。下記画像が元データとなります。
National Football League Physicians Society (NFLPS:NFL医師会)より提供された情報です。
なお、メディカルスタッフの平均的な人数であり、NFLの公式プロトコルとはみなされません。
平均的なチームスタッフ
現在のNFLは32チームです。
1チームあたりの平均スタッフ職種および人数の内訳を紹介します。
なお、試合は2チームで行われるため、チームスタッフも記載の2倍の人数になります。
アスレティックトレーナー 4名
チームドクターと連携し、プレーヤーのケガの評価と治療を行います。
アメリカにおけるアスレティックトレーナーはBOC-ATC(米国アスレティックトレーナー資格認定委員会公認アスレティックトレーナー)資格保有者です。
NATA(全米アスレティックトレーナーズ協会:National Athletic Trainers’ Association)は公認アスレティックトレーナーおよびアスレティックトレーニングの職業をサポートする人々のための職能団体です。
National Athletic Trainers’ Association
日本においては、JSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)がこれに代わる資格です。
JSPO-ATについては下記の記事より
プライマリーケア医 2名
一般的な病状や脳震盪について、プレーヤーを評価します。
プライマリーケアとは、身体各種の問題に幅広く対応される、最も身近な「総合的医療」です。
必要に応じて専門医に紹介できる総合診療医とも言えます。
整形外科医 2名
骨や関節の損傷に対するプレーヤーの評価と治療を行います。
整形外科医は運動器疾患の診断・治療を行う専門医です。
骨折、捻挫、脱臼、打撲、肉ばなれなどを専門とします。
神経外傷コンサルタント(UNC) 1名
頭部外傷や脳震盪の可能性があるプレーヤーを評価します。
神経外科医や神経学者で、地元の脳神経外科医の医長などが兼務する場合も多いようです。
カイロプラクター 1名
選手の背中や脊椎の調整、骨格筋系の怪我の治療などを行います。
カイロプラクティックはカイロプラクターが行う脊椎の調整を中心とした体のケアです。
日本ではあまりなじみのない治療法ですが、アメリカにおいてカイロプラクティックは医学に準ずる療法として法制化されています。
カイロプラクティックを学ぶ専門の大学があり4年間で4200時間(1000時間の臨床実習を含む)の学びの後、卒業時にDoctor of Chiropractic(D.C.)の学位が与えられます。
アメリカでは約6万人のカイロプラクターが活動し、一般的な療法であると広く認知されています。
NFLではの多くのチームがカイロプラクティックによる選手のケアを実施しています。
スタジアムのメディカルスタッフ
続いて、スタジアムに配属されているスタッフです。
地元の医療機関との連携ができるスタッフが揃っています。
独立アスレティックトレーナー 2名
プレスボックスから監視し、負傷の可能性がある場合、フィールドのメディカルスタッフに通知します。
独立したATスポッターは、プレーヤーに医療処置を受けさせるために、メディカルタイムアウトを要求してゲームを中断させることができます。
試合において、どちらのチームにも所属しないアスレティックトレーナーのことです。
ビジターチーム・メディカル・リエゾン(VTML) 1名
ゲームが行われている州で医療行為を行う資格を持つ地元の救急医です。
VMTLは、チームと協力し、ケア、投薬、一流の医療施設へのアクセスを提供します。
一般的にこれに準ずる職業としては「メディカルサイエンス・リエゾン(MSL)」が挙げられます。
しかし、MSLは製薬会社、バイオテクノロジー会社、医療機器会社、マネージドケア会社に雇用されているヘルスケアコンサルティングの専門家で、最新の医学情報を医療現場の医師などの医療従事者に提供する職業です。
VMTLが地元の医療コーディネーターとしての役割を担っていることから、MSLとは区別されます。
気道管理医 1名
重傷を負い呼吸のないプレーヤーへの緊急挿管を行います。
放射線技師 1名
スタジアムで負傷したプレーヤーのレントゲンを撮影します。
救急救命士/救急隊員 2名
プレーヤーが大きな怪我をした場合、選手を病院へ搬送します。
神経外傷コンサルタント(UNC) 1名
放送のビデオ/オーディオを監視し、頭部、頸部、脊椎の負傷の可能性がある場合、フィールド上のUNCに通知します。
歯科医 1名
歯のトラブルを治療します。
眼科医 1名
目のケガを治療します。
3人に1人がアスレティックトレーナー
試合当日においては、8名のチーム専属アスレティックトレーナー(1チーム平均4名が2チーム)と、どちらのチームにも属さないアスレティックトレーナーが2名います。
つまり10名のアスレティックトレーナーがその役割を担うことになっています。
30名のメディカルスタッフのうち、10名がアスレティックトレーナーということになっています。
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