立甲(りっこう)とは
背中で肩甲骨を立てる方法です。
立甲ができると、背中で肩甲骨がはがれたかのように、肩甲骨下角や内縁が浮かびあがります。
一度、やり方を習得すれば、何度もできるようになります。
立甲のコツ
「上腕骨を固定してゼロポジションの方向に肩甲骨を動かす」
という感覚が最も近いです。
この際に、すべてのローテーターカフを緊張させ、肩甲骨周囲筋を弛緩させます。
四つん這いがおすすめ
初めて立甲に挑戦する人は、強すぎず軽すぎずの適度な圧力が適しています。
まずは四つん這いで、上肢(腕)に少しだけ体重をかけた状態がおすすめです。
慣れてくると、壁押し姿勢やプッシュアップポジション、前ならえの姿勢でもできるようになります。
背中は少し丸めて肩甲骨やや外転位
胸椎(背中)はやや丸め、肩甲骨は通常よりもやや外転(外側にひろげる)します。
この状態は、肩甲骨が胸郭に固定されません。
最も自由度が高い反面、不安定です。
以前の記事で、ショルダーパッキングという姿勢(肩甲骨内転・下制位)を最も肩甲骨が安定するポジションとして紹介していますが、ショルダーパッキングとは相反する肢位になります。
床を押す
手に軽く体重をかけたまま床を頭側やや外側に押す感覚です。
この時に上肢を軸に、ローテーターカフに力を入れます。
個人的には、棘上筋、棘下筋に最も力が入る感覚があります。
ゼロポジションに
上腕骨を軸に、ローテーターカフに力を入れた結果、上腕骨頭の求心性が高まりゼロポジションの状態します。
立甲が成功すると、肩甲骨下角や内縁が背中に浮かびます。
上腕骨頭求心性のイメージ
肩甲骨関節窩に上腕骨頭を引き付ける力を「上腕骨頭の求心性」といいます。
立甲の際は、この上腕骨頭求心性を高める感覚があります。
この求心性のイメージがないと難しいかもしれません。
ローテーターカフの筋力
上腕骨頭の求心性を高めるためには、最低限のローテーターカフの筋力が必要です。
肩のインナーマッスルですので、ある程度鍛えておき、意識的に動かせるようになっていた方が立甲はやりやすいでしょう。
肩甲骨周囲筋の脱力
きれいに立甲するためには、肩甲骨周囲筋は脱力する必要があります。
特に肩甲骨下角を立てるためには、前鋸筋の力はしっかりと抜きましょう。
また、肩甲骨内縁を出したい場合は大・小菱形筋の力も抜く必要があります。
立甲は危険ではない
立甲はゼロポジションに近づき、肩甲上腕関節が最も安定する位置になるため、危険ではありません。
この状態ができるようになるためにはローテーターカフの筋力が相当必要です。
脱臼の既往やインピンジメント症候群など肩甲上腕関節に不安定性のある方にはおすすめしています。
ただし、胸鎖関節捻挫・脱臼や肩鎖関節捻挫・脱臼の急性期および慢性期でも不安定性がある方は、注意が必要です。
コツを覚えるまで繰り返す
上記のすべての条件がそろえば、立甲は必ずできます。
皆さんも挑戦してみてください!
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