花粉症と鍼灸
研究をまとめると、鍼灸は花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)でQOL(生活の質)や薬の使用量などが良くなる可能性が示されています。
一方で、改善の大きさは研究によって幅があり、「誰にでも劇的に効く」とは言いにくいのも事実です。
大規模RCTでは「統計学的には改善したが、臨床的に意味のある差かは慎重に」という書き方もされています。
そもそも花粉症って何?
花粉症は、花粉がきっかけで鼻の粘膜に炎症が起きる状態で、医学的には季節性アレルギー性鼻炎(Seasonal Allergic Rhinitis)と呼ばれます。
症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりだけでなく、睡眠の質や集中力にも影響します。
研究では「何が良くなった」?
症状だけでなく「QOL」や「薬の量」がポイント
鍼灸の研究では、症状スコアに加えて、次のような指標がよく使われます。
- QOL(生活の質):鼻炎による困りごと(睡眠、仕事・勉強、外出など)を点数化
- レスキュー薬(つらい時の薬)の使用量:どれだけ薬に頼ったか
たとえば、ドイツの多施設大規模RCTでは、8週間の治療後に疾患特異的QOLと抗ヒスタミン薬使用で、鍼がシャム鍼(偽鍼)や薬のみより改善したと報告されています。
ただし改善が“臨床的に十分大きいか”は慎重な表現がされています。
また、オーストラリアのRCTでも、花粉シーズンに合わせて4週間・12回の鍼治療を行い、症状指標などで差が示された報告があります。
メタアナリシスではどう?
2022年のシステマティックレビュー/メタアナリシスでは、成人のアレルギー性鼻炎に対して、鍼が鼻症状やQOLで無介入や偽鍼より有利になりうる、という結論が示されています。
一方で「追加の試験が必要」とも述べられています。
研究でよく使われるツボ
研究で繰り返し登場しやすいのは、次のような組み合わせです。
※流派の“正解”ではなく、あくまで研究での頻出パターンです。
「ツボを知りたい」より大事なのは、どれくらいの頻度で、どんな刺激で続けたかです。
通い方の目安(研究に多いパターン)
大規模RCTや代表的な季節性ARのRCTでは、合計12回の治療が一つの目安になっています。
- 4週間で12回(週3回):花粉シーズン中に集中的に実施
- 8週間で12回(前半は週2回、後半は週1回):継続型で実施
また、比較のために使われるシャム鍼(偽鍼)は「浅く刺す」「強い刺激を避ける」など、効果を出しにくい設計にしていることが多いです。
こうした“比べ方”があるからこそ、鍼の効果を慎重に見積もれます。
耳ツボは効くの?
耳に小さな種などを貼り、日中に自分で押す耳介圧迫(ear acupressure)についても研究のまとめがあります。
2021年のシステマティックレビューは、耳介圧迫がアレルギー性鼻炎に有用な可能性を示しつつ、研究の質の面で限界があることも示しています。
通院頻度を上げにくい人にとって、「セルフケアとして取り入れやすい」点はメリットですが、まずは標準治療(薬・回避)を土台に考えるのが安全です。
薬はやめない方がいい?併用の考え方
花粉症の基本は、点鼻薬や内服などの標準治療と、花粉回避(マスク、帰宅後の洗顔・衣類管理など)です。
鍼灸は、次のような場面で「補助」として検討しやすい選択肢になります。
- 薬で眠くなる、集中が落ちる
- 薬を増やすのに抵抗がある
- 睡眠や自律神経の乱れも一緒に整えたい
- 受験・大会シーズンでコンディションを崩したくない
ただし、自己判断で薬を中断するのはおすすめしません。
併用しながら「薬の回数が減るか」「日中が楽になるか」を見るのが現実的です。
必ず医師と相談しましょう。
試し方:まず2〜4週間で判断
鍼灸の治療を受けるなら、「続ければいつか効く」と考えるより、短い期間で効果判定するほうが失敗しにくいです。
- 毎日で記録(0〜10点)
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- 薬を飲んだ回数(点鼻も含めるとより良い)
- 2〜4週間でチェック
- 睡眠が楽になったか
- 日中の集中力が戻ったか
- 薬の回数が減ったか
変化が乏しければ、頻度や方法を相談する/薬の最適化(耳鼻科)/回避策の強化へ切り替える、という判断がしやすくなります。
まとめ
- 鍼灸は、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)でQOLや薬使用量などの改善が示された研究があります。
- ただし効果の大きさには幅があり、万能ではありません。
- 現実的には「標準治療+花粉回避」を土台に、鍼灸を補助的に使い、2〜4週間で効果判定するのがおすすめです。
参考文献(外部リンク)
Acupuncture in patients with seasonal allergic rhinitis: a randomized trial
Acupuncture for seasonal allergic rhinitis: a randomized controlled trial
Acupuncture for allergic rhinitis: a systematic review and meta-analysis


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