頭痛持ちの人って多いよね。
アスリートたちも頭痛に悩まされている人たちはいるのかな。
アスリートはアンチ・ドーピングによって市販薬の服用制限があるんだよ。
あの吉田沙保里さんも、引退後「20年以上ぶりに市販薬を飲んだら、その効果にびっくりでした」と驚くほど。成分が弱い処方薬しか服用できない生活はつらいよね。
頭痛は約4人に1人が週1回以上経験するといわれているんだ。
今回は頭痛に対する鍼治療の効果について紹介するね。
わーい!
決して自己判断をせず、主治医に相談の上、鍼治療を検討してください。
また、この記事には鍼治療の写真が含まれています。苦手な方はご注意ください。
WHOが認めた鍼灸の有効性
鍼灸に関連する記事は下記を参考にしてください。
頭痛は約4人に1人が週1回以上経験する
2011年に20~59歳の男女800名を対象に行われた調査によると、頭痛を感じた⼈のうち、週に1回以上頭痛がある⼈は26.3%、月1回以上頭痛がある人が60.8%でした。
自分の頭痛が「とてもひどいと思う」「ややひどいと思う」と答えた⼈は31.1%います。
日本人の「痛み」実態調査 – 第一三共ホームページ(1.2MB)
上記の調査の注意点は、一定数いると思われる「過去1年間に頭痛がなかった人」は調査対象にしていないことです。
緊張性頭痛と片頭痛
頭痛は、最も一般的な痛みの形態であり、仕事や学校を休んだり、医療機関を受診したりする主な理由です。
日本では緊張性頭痛で2,000万人以上、片頭痛で800万人以上存在すると推測されています。
片頭痛はアメリカにおいてもの約12%もの人々が抱えているといわれています。
今回はこの2種類の頭痛に焦点を当てていきます。
頭痛 | 症状 | 部位 | 原因 | リスク要因 |
---|---|---|---|---|
緊張性頭痛 | 一般的なタイプ 頭をしめつけられるような痛み | 頭部全体 後頭部 | 肩、首、頭、顔面の筋肉の緊張 | ストレス うつ病や不安 働きすぎ 睡眠不足 食事の欠乏 アルコール飲料 |
片頭痛 | 中~重度のズキズキする痛み 光や音に敏感になる 吐き気 | 片側 | 一部の脳細胞を制御する遺伝子 | 不安 ストレス 食事や睡眠の不足 光への露出 ホルモンの変化(女性) |
この他にも、群発性頭痛や三叉神経自律神経性頭痛、薬物乱用頭痛、様々な疾患が原因の二次性頭痛もありますが、今回の記事では割愛しています。
頭痛の治療は薬の服用
頭痛の治療は、NSAIDs(非ステロイド抗炎症剤)等の服用など、薬物療法が中心です。
薬乱用頭痛への注意も必要であるため、治療を適切に受けるために、まずは頭痛外来などの医療機関を受診してください。
頭痛の診療ガイドライン – 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修(6.4MB)
トップアスリートたちはアンチドーピングにより、これらの薬の服用に制限を受けることが多く、頭痛持ちの選手たちの悩みとなっています。
鍼治療は頭痛に効果がある
鍼治療は英語で Acupuncture (アキュパンクチャー)と呼ばれ、世界でもその効果が注目されて、研究が進められています。
ここでは、現時点でわかっている頭痛に対する鍼治療の効果をまとめます。
2020年の鍼治療と片頭痛を予防するための様々な薬を比較した9つの研究のレビューでは、薬と比較して鍼治療がわずかに効果が高く、鍼治療を受けた研究参加者は、薬物治療を受けた参加者よりも副作用のために研究を脱落する可能性がはるかに低いことがわかりました。
2016年に約5,000人を対象とした22件の研究評価によると、鍼治療が片頭痛の頻度を減らす可能性があるという中程度の質のエビデンスがあります。
これらの研究からのエビデンスは、鍼が偽鍼よりも優れている可能性を示唆していますが、その差は小さいです。
2016年に約2,350人を対象とした12件の研究の評価から、鍼治療は緊張性頭痛の頻度を減らすかもしれないという中~低質のエビデンスがある。
詳細は下記サイトを参考にしてください。
Headaches: What You Need To Know
Acupuncture: What You Need To Know
鍼治療の効果のメカニズムは不明
鍼治療がどのように痛みを和らげるのかについては不明です。
現在のエビデンスでは、期待や信念、プラセボ反応など、鍼治療とは関係のない非特異的な要因が、痛みに対する鍼治療の有益な効果に重要な役割を果たす可能性があることが示唆されています。
頭痛に対する心理的/身体的アプローチ
研究者たちは、この緊張性頭痛と片頭痛、両方に対する様々な補完的健康アプローチについて研究してきました。
心理的/身体的アプローチ | エビデンス |
---|---|
鍼治療 | 有効性あり |
バイオフィードバック | 有効性がある可能性がある |
マッサージ | 限定的/一貫性に欠ける |
リラクゼーション法 | 限定的/一貫性に欠ける |
脊椎マニピュレーション | 限定的/一貫性に欠ける |
太極拳 | 限定的/一貫性に欠ける |
鍼治療の効果は前述の通りです。以下には、その他の心理的/身体的アプローチの有効性に関するエビデンスを要約していきます。
バイオフィードバック
自己の筋肉をリラックスさせる方法を習得する治療法です。
測定機器を使って、筋肉の緊張度を表示し、緊張度がどのように変化するかを見ていきます。
これにより筋肉がいつ緊張しているかをより意識できるようになり、筋肉をリラックスさせることができるようになります。
緊張性頭痛のバイオフィードバック
多数の研究のうち、いくつかの研究の評価では、バイオフィードバックは有用であると結論づけています。
最も質の高い研究のみを対象とした評価では、バイオフィードバックが緊張性頭痛に有用かどうかについては、矛盾する証拠があると結論づけています。
片頭痛に対するバイオフィードバック
バイオフィードバックを使用している人の片頭痛の頻度が減少したことが研究で示されています。
しかし、片頭痛に対して、バイオフィードバックがプラセボよりも優れているかどうかは不明です。
マッサージ
2 つの小規模な研究から得られた限られた証拠は、マッサージ療法が片頭痛に役立つ可能性があることを示唆していますが、明確な結論を導き出すことはできません。
その他の心理的/身体的アプローチ
頭痛に対するリラクゼーションテクニック、脊椎マニピュレーション、太極拳等の補完的健康アプローチは、今のところ質の高い十分な研究がなされていません。
心理的/身体的アプローチ | 内容 |
---|---|
リラクゼーションテクニック | イメージ法や呼吸法など |
脊椎マニピュレーション | カイロプラクティックなど |
太極拳 | 瞑想、ゆっくりとした動き、深呼吸 |
サプリメントによる補完的健康アプローチ
サプリメントには副作用があり、医薬品との望ましくない相互作用を起こすものもあります。
頭痛のサプリメントを検討している方は、必ず主治医に相談してください。
サプリメント | エビデンス |
---|---|
ふき(蕗) | 片頭痛の頻度を減らす有効性がある ※肝機能に影響を及ぼすため現在は推奨されていない |
コエンザイムQ10 | 片頭痛の頻度を減らす可能性がある ただしエビデンスは少ない |
ナツシロギク | 片頭痛の頻度を減らす可能性がある ただしエビデンスは少ない |
マグネシウム | 片頭痛の頻度を減らす可能性がある ただしエビデンスは少ない |
ビタミンB2 (リボフラビン) | 片頭痛の頻度を減らす可能性がある ただしエビデンスは少ない |
オメガ3脂肪酸 | 片頭痛の頻度と重症度を減らす可能性がある ただし一貫性に欠ける |
鍼灸の可能性
日本の1年間の鍼灸治療の受療率は5.0%と報告されています。
アメリカでは6.4%の成人が鍼治療を受けており、年々増加傾向にあるようです。
世界的にも鍼灸の受療率が上がっていますが、90%以上の人が鍼治療の良さを経験していません。
頭痛でお悩みの方は、ぜひ鍼治療を体験してみてください。
頭痛に効くツボも教えてほしいなー。
鍼灸マッサージ師が使う頭痛のツボは、今後の記事で紹介していくね。
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