扁平足は、足の土ふまず(内側縦アーチ)が低下することによって起こる足の変形です。
この状態は、歩行や立位のバランスに影響を与え、足や膝、腰などの痛みを引き起こすことがあります。
しかし、ショートフットエクササイズ(Short Foot Exercise:SFE)は、扁平足の改善に効果的な方法として注目されています。
扁平足が引き起こす主な問題
扁平足の主な問題としては、次のような症状があります。
- 足や膝の痛み:アーチの崩れにより、足底や膝に過度な負担がかかります。
- 姿勢の悪化:足の不安定さが全身のバランスに影響を与え、慢性的な腰痛や股関節痛を引き起こすことがあります。
- 歩行の疲労感:足の機能が低下するため、短時間の歩行でも疲労しやすくなります。
- バランス能力の低下:扁平足の人は、特に静止しているときにバランスを取りづらくなることが報告されています。
- 歩行の動作不良:歩行時に足が内側に傾くため、自然な動きが難しくなります。
SFEとは?内在筋を強化して足のアーチを回復!
ショートフットエクササイズ(SFE)は、足の内在筋(特に足底の筋肉)を鍛えるための運動です。
このエクササイズは、足の指を使わずに足の内在筋に力を入れる、足の第一中足骨をかかとに引き寄せ、内側縦アーチを高めることを目的としています。
研究によると、SFEは少なくとも5週間継続することで、内側縦アーチ(MLA)の改善が見込めると報告されています。
扁平足の方には、足の形状を正常に戻すだけでなく、痛みやバランスの改善にもつながると言われています。
SFEの実践方法
従来のSFEの方法
複数の論文をもとにしたSFEの方法をまとめると下記の通りです。
- 床に座り、足を前に伸ばしてリラックスします。足の指を動かさず、かかとは床にしっかりとつけておきましょう。
- 足底の内在筋を意識して、親指の付け根をかかとの方向に引き寄せるように力を入れます。この時、足の指の力を使わずに行うことがポイントです。足のアーチを高めることを意識しながら行い、数秒間その状態を保ちます。
- この動作を10回繰り返し、1セットとします。
- 1日に3セットを目標に、週5日以上続けて行うことが推奨されます。
本サイト推奨のSFEの方法
「母趾球を踵に近づける」ことはそう簡単にできるわけではなく、足のアーチを作るのはなかなか難しいです。
そこで本サイトでは下記の方法を推奨しています。
足の「ウィンドラス機構(Windlass Mechanism)」というメカニズムを利用し、母趾を背屈させることにより足のアーチを形成します。
ここで形成された足のアーチを維持しながら、ゆっくりと母趾を床につけます。
立った状態や、靴を履いた状態など、様々な条件下でできるようになることも重要です。
SFEの効果
内側縦アーチの改善
SFEは足の内側縦アーチ(MLA)の改善に効果的であることが示されています。
特に、5週間以上のSFEを行った場合、6件中4件の研究でMLAの改善が報告されています。
足の内在筋の強化
SFEは、足の内在筋を強化することで、筋肉の厚さや機能を向上させる効果も確認されています。
3つの研究では、SFEを実施した後に内在筋の厚さと筋活動が改善されたことが報告されています。
これにより、足自体の筋力が増し、より強固な足の構造を保つことが可能になります。
足の形状を維持しやすくなり、さらなる扁平足の進行を防ぐことができます。
バランス力の向上
SFEは、動的および静的バランス能力を向上させることが研究で示されています。
2つの研究では、SFEによってYバランステストの成績が向上したことが報告されており、これにより歩行や立位時の安定性が向上したとされています。
また、SFEが足のプロプリオセプション(固有受容感覚)を刺激することで、バランス機能が改善する可能性があると考えられています。
足の形態の維持
SFEは、足の形態維持にも効果を発揮します。
妊娠中の女性を対象とした研究では、妊娠に伴って増加する足の長さや幅が、SFEを行ったグループでは変わらなかったことが報告されており、これにより足の形態を維持する効果があるとされています。
症状改善の効果
SFEは、膝の痛みを持つ患者においても、痛みや機能を改善する効果が報告されています。
特に膝蓋大腿痛症候群(PFP)患者に対して、痛みの軽減や膝の機能向上に寄与することが確認されています。
まとめ
ショートフットエクササイズ(SFE)は、扁平足の改善に非常に効果的な方法です。
特に内在筋を鍛えることで、足のアーチを高め、足や膝の痛みを軽減し、バランス能力の向上も期待できます。
科学的な研究でも、SFEを5週間以上継続することで、足の内側縦アーチが改善され、バランス能力や筋力が向上することが示されています。
痛みの軽減や姿勢の改善を目指す方には、ぜひSFEを試してみてください。
コメント