はじめに
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ師、柔道整復師、理学療法士を目指す学生にとって、国家試験はもちろんのこと、学内で行われる試験も大きなハードルです。
国家試験は選択式のマークシート形式で約6割以上の正答率が求められますが、その前に普段の試験でしっかり知識を定着させることが不可欠です。
この記事では、膨大な量の学習内容を効率的に覚えるための6つのポイントを解説します。
国家試験では短期記憶に依存しすぎないよう、長期間にわたって知識を維持することが重要です。
今回は下記の書籍も参考にしながら、複数のライターの体験談をもとに構成しています。
アクティブリコール:思い出す力
アクティブリコール(Active Recall)とは、学んだ内容を自分の頭で積極的に思い出すことで記憶を強化する学習法です。
単にテキストを読み返す「受動的学習」とは異なり、問題を出したり、フラッシュカードを使って自分に問いかけたりすることで、脳を活発に使います。
これにより、より深く記憶に定着させることができます。
学内試験や国家試験で求められるのは、膨大な情報を単に覚えるだけでなく、それを適切なタイミングで思い出す力です。
アクティブリコールを取り入れることで、学んだ知識をしっかりと引き出せるようになります。
- フラッシュカードを利用:手書きのカードやWordHolicなどのアプリを使って、質問と答えをカードの表と裏に記入します。次にカードをめくる前に、答えを思い出すようにして練習します。
- 自分に問いかける:テキストを閉じて、学んだ内容を頭の中で説明するようにします。友人やクラスメートに説明することも効果的です。
- 過去問を解く:本番の試験形式に近い問題を解き、時間を計りながら実際に知識を引き出す訓練を行います。
効果:人間の脳は、単に情報を目にするだけではなく、その情報を思い出す過程で記憶が強化されます。アクティブリコールはこの「思い出す作業」を意図的に取り入れることで、試験本番での記憶の引き出しをスムーズにします。
間隔反復法:忘れにくい記憶
間隔反復法(Spaced Repetition)は、時間を置いて繰り返し復習することで、長期的な記憶を強化する学習法です。
一度学んだ内容を短期間に繰り返し復習するのではなく、時間を空けて復習することで、記憶が脳に定着しやすくなります。
人間の記憶は時間とともに薄れていきますが、忘れる前に復習を行うことで記憶の定着を強化できます。
間隔を空けて復習することで、何度も新鮮な情報として脳に刺激を与えることができ、長期記憶に残りやすくなるのです。
- 初回復習:新しい情報を学んだら、1日後に初めて復習します。
- 2回目の復習:次は3日後に再度復習します。
- その後の復習:1週間後、1か月後と、徐々に間隔を広げて復習します。
この方法は、記憶が薄れ始めるタイミングで復習を行うことによって効果を最大化します。
デジタルツールの活用
間隔反復法を効果的に行うためには、AnkiやQuizletなどのアプリが便利です。これらのツールは、自動的に復習するタイミングを管理し、最適な間隔でカードを表示してくれるため、手間なく間隔反復法を実践できます。
効果:間隔を空けることで、脳に「これは重要な情報だ」という信号を送ることができます。これにより、短期記憶から長期記憶へと変換され、試験の数か月前に学んだ内容でも、本番でしっかりと思い出すことが可能になります。
マインドマップやビジュアル化:視覚的に整理
学んだ知識を視覚的に整理することで、脳に強く印象を残すことができます。
マインドマップを使って情報を関連付けると、脳がそれを容易に思い出せるようになります。
また、グラフや図を用いることで、難しい概念を理解しやすくし、記憶に残りやすくなります。
- 各科目やトピックごとに中心から枝を伸ばして関連知識を整理。
- 重要な概念を図にまとめ、視覚的に情報を捉える。
効果:視覚情報は言葉やテキストよりも長期的に記憶されやすく、試験の際に瞬時に情報を引き出す助けになります。
自己説明法:理解を深める
自己説明法は、学んだ内容を自分に対して説明する学習方法です。
これにより、単に覚えるだけでなく、理解を伴った記憶が形成されます。
家族や友人に説明したり、その結果として正確に伝わったのかを確認することで、さらに効果が増します。
- 学んだことを自分の言葉で声に出して説明。
- 説明後に、不足している知識を振り返り補強。
アウトプットを伴う学習法は、記憶を強化するだけでなく、内容の理解度を確認できるため、弱点を発見しやすくなります。
チェインメソッド:記憶の連鎖
情報同士を関連付けてストーリー化する「チェインメソッド」は、特にリストや数値を覚える際に有効です。
ストーリーやイメージを使って情報を結びつけることで、脳に強く印象を残しやすくなります。
- 覚えたい単語や概念を登場人物に見立て、物語を作成。
- 各イメージを、ストーリーや連鎖の形で結びつける。
チェインメソッドでは、情報を一連のストーリーに結びつけることで、単なる暗記よりも長期的に記憶が定着します。
睡眠と運動の質:脳の血流量
記憶力を高めるためには、十分な睡眠と適度な運動が不可欠です。
新しい知識は、睡眠中に脳内で整理され、長期記憶に変換されます。
また、運動は脳の血流を増やし、集中力や記憶力を向上させることが科学的に証明されています。
- 学習後に6〜8時間の睡眠を確保。
- 1日30分程度の軽い運動を取り入れ、脳の活性化を図る。
記憶は睡眠中に強化され、運動によって集中力や認知機能が向上します。これにより、効率よく情報を記憶することができます。
まとめ
国家試験や学内試験で必要な膨大な知識を効率的に記憶するためには、アクティブリコールや間隔反復法をはじめとする多様な学習法を組み合わせることが重要です。
これに加え、マインドマップ、自己説明、チェインメソッド、運動、睡眠、などを取り入れることで、記憶力を最大限に引き出し、試験本番での成功に近づけるでしょう。
試験勉強の計画に、これらの方法をぜひ取り入れてください。
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