ショルダーパッキングとは
トレーニングに用いられるショルダーパッキング(Shoulder Packing)は、トレーニング動作中において肩甲骨を内転・下制位に保つ方法です。
肩(肩峰)を下げ、できるだけ耳から遠ざけ、首を長くするイメージです。
胸を張った姿勢で肩甲骨を内側に寄せ、引き下げます。
この背中に肩甲骨を押し付ける(=詰める)ことをパッキングと表現しています。
ショルダーパッキングの方法
- 足を腰幅に開いて立つ
- 背筋を伸ばして胸を張り、腕を下垂させる
- 腹圧を高め、体幹を固定する
- 腰を反らすことなく肩甲骨を後下方に押し下げる(内転・下制)
- この状態を3~5秒維持する
ショルダーパッキングは、肩をすくめる動き(肩甲骨挙上位)や巻き肩(肩甲骨外転位)と真逆の動きです。
猫背や背中を丸めた姿勢では、正しくショルダーパッキングができません。
しっかりと背筋を伸ばして行いましょう。
肩の可動性が上がる
本来、肩甲骨は上肢(腕)の動きに合わせて胸郭上で大きく動きます。
肩甲骨を内転・下制位にすることにより、胸郭後方(肋骨)に肩甲骨がフィットして安定感が増します。
肩甲骨が内転・下制位で安定すると、肩甲骨の上方回旋がしやすくなり、上肢を自由に動かすことができるようになります。
これにより、投球障害肩に代表されるような肩関節インピンジメント症候群などの肩甲骨の不良姿勢による痛みが改善します。
立甲のコツはゼロポジション!肩甲骨はがしの方法
立甲(りっこう)は肩甲骨はがしとも呼ばれ、背中で肩甲骨を立てる方法です。立甲ができると、背中で肩甲骨がはがれたかのように、肩甲骨下角や内縁が浮かびあがります。四つん這いになり背中をやや丸め、肩甲骨はやや外転位にしておきます。この状態で床を前やや外側に押すようにすることで力甲ができます。立甲はゼロポジションに近づき、肩甲上腕関節が最も安定する位置になるため、危険ではありません。この状態ができるようになるためにはローテーターカフの筋力が相当必要です。脱臼の既往やインピンジメント症候群など肩甲上腕関節に不安定性のある方にはおすすめしています。
ゼロポジション(Zero-position)は一つではない?実は複数ある肩関節の最適なポジション
肩のゼロポジション(Zero-position)は肩甲骨関節窩の方向と上腕骨の長軸が一致する力学的位置として認識されています。この肢位では、すべての回旋筋(ローテーターカフ:棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の軸が一直線に並び、肩関節の安定に作用します。実は肩甲骨の位置によって、ゼロポジションの肢位が変わります。
姿勢を保ちやすい
肩甲骨を胸郭に安定化させることを意識しておくと、正しい姿勢を維持しやすくなります。
トレーニング中に猫背や巻き肩はNGです。
このような姿勢にならないようにショルダーパッキングを用いることは最適です。
ショルダーパッキングが苦手なら
ショルダーパッキングが苦手な人は、下記記事で肩甲骨を内転・下制させる種目を紹介しています。
ショルダーパッキングを用いる種目
ショルダーパッキングはコアエクササイズ(主要なエクササイズ)を中心に様々な種目で使います。
ショルダーパッキングは、このような種目を行う際に用いられます。
特に、ルーマニアンデッドリフト(RDL)の際に、ショルダーパッキングを用いることによりバーベルが身体の近くを軌道します。
デッドリフトでは肩甲骨を寄せろ!ショルダーパッキングでバーが自然と体の近くを通る
デッドリフトをしている際にコーチが「バーを体の近くに引け」、「バーがももの前を擦るように」と指導しているのを耳にしますが、これは大きな間違いです。正しくは「すべての局面で肩甲骨を寄せて引き下げた状態を維持しろ」です。ショルダーパッキングが抜けるとバーが体から離れますが、ショルダーパッキングを維持しておくことで、自然とバーが体の近くを通るのです。
ベンチプレスで肩が痛い!大胸筋に効かない!ショルダーパッキングで解決せよ
選手がベンチプレスをしている際にコーチが「バーを胸につけろ」と指導するのを耳にしますが、ショルダーパッキングを十分に指導せずに、無理やりバーを胸につけると肩を痛めてしまう可能性が高いです。ショルダーパッキングを維持したまま、バーを胸につけることで、肩を痛めるリスクが減少し、大胸筋に効かせることができます。
ケトルベルスイングがトレーニング基本動作習得に最適な理由
ケトルベルスイングは、ケトルベルと呼ばれるやかんの形をしたダンベルを両手に持ち、両脚の間から前方に振り上げるエクササイズです。ヒップヒンジ、体幹スタビリティ、ショルダーパッキングといった、トレーニングには欠かせない動作が豊富に含まれています。
立甲のコツはゼロポジション!肩甲骨はがしの方法
立甲(りっこう)は肩甲骨はがしとも呼ばれ、背中で肩甲骨を立てる方法です。立甲ができると、背中で肩甲骨がはがれたかのように、肩甲骨下角や内縁が浮かびあがります。四つん這いになり背中をやや丸め、肩甲骨はやや外転位にしておきます。この状態で床を前やや外側に押すようにすることで力甲ができます。立甲はゼロポジションに近づき、肩甲上腕関節が最も安定する位置になるため、危険ではありません。この状態ができるようになるためにはローテーターカフの筋力が相当必要です。脱臼の既往やインピンジメント症候群など肩甲上腕関節に不安定性のある方にはおすすめしています。
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