最大酸素摂取量(VO2max)の推定値算出方法とトレーニング方法

最大酸素摂取量(VO2max)の推定値算出方法とトレーニング方法 初学者向け
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はじめに

最大酸素摂取量(VO2max)は、スポーツパフォーマンスや全体的な体力向上に欠かせない要素です。

本記事では、VO2maxを向上させるためのトレーニング方法と、スポーツ現場でのVO2maxの推定指標について解説します。

アスリートやコーチ、トレーナーにとって、推定値算出方法や効率的なトレーニング方法は、目標達成に向けた重要なステップです。


VO2maxの正しい表記は「 \dot{V}O_2 \mathrm{max} 」ですが、今回は表示設定の都合上「VO2max」で表記します。

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スポーツ現場におけるVO2maxの推定値算出方法

研究機関や大学では、高額な測定機器を使って最大酸素摂取量(VO2max)を直接測定することが可能ですが、スポーツ現場ではそのような設備が整っていないことが一般的です。

そのため、現場ではフィールドテストなどを用いて、VO2maxを間接的に推定する方法が広く利用されています。これにより、実際の競技環境に即した形で選手の持久力やパフォーマンスの目安を把握することが可能です。

クーパーテスト(12分間走)

12分間走るクーパーテスト(Cooper test)は、VO2maxを間接的に評価するもっとも一般的なフィールドテストです。

スポーツ現場で簡単に実施でき、持久力の評価に広く利用されています。

12分間走の走行距離をもとに、以下の公式に当てはめて評価をされています。

VO2max = 0.02235 × 走行距離(m) – 11.29

以下の表は、この公式に基づいた推定値の一覧表です。

走行距離推定最大酸素摂取量
2,000m33.4
2,400m42.4
2,800m51.3
3,200m60.2
3,600m69.2
4,000m78.1
※目安のため、年齢や性別によって異なります。単位はmL/kg/min

トレッドミル上での負荷テスト

徐々に負荷を増やしながら、心拍数や疲労度を観察することで、体の酸素供給能力を評価します。

測定方法方法・特徴対象
Bruceテストトレッドミルの速度と傾斜を段階的に増加させるアスリート、一般成人の持久力評価
Balkeテスト低速度で傾斜を増加させる、安全なテスト高齢者、運動初心者、リハビリ目的
Astrand-Rhymingテスト一定負荷の運動中の平均心拍数でVO2maxを推定中高年者、健康管理向け
Submaximalテスト最大努力に達せず心拍数と運動負荷でVO2maxを推定安全性重視の評価、高齢者や初心者向け

自転車エルゴメーター上での負荷テスト

測定方法基準心拍数目的対象
PWC170170拍/分健康な成人の持久力・心肺機能の評価若年者、健康な成人
PWC150150拍/分低強度の運動評価、安全性を重視した測定高齢者、運動初心者
PWC75%HRmax最大心拍数の75%個々の体力や年齢に基づいた柔軟な評価中高年者、心臓疾患リスクを持つ人

その他の方法

下記文献に様々なVO2maxの推定方法や推定式が掲載されていますので、参考にしてみてください。

A review: Maximal oxygen uptake (VO2 max) and its estimation methods

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VO2max向上に向けたトレーニング方法

インターバルトレーニング

高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、短時間の高強度運動と低強度の回復を繰り返す方法で、VO2max向上に非常に効果的です。

  • 特徴: 高強度(最大心拍数の90%~100%)で短時間の運動を行い、その後、低強度(最大心拍数の50%~60%)で回復期間を取る。
  • : 1分間の全力ランニング(またはサイクリング)、その後1~2分の軽いジョギングや歩行を挟み、これを6~8セット行う。
  • 効果: 心臓の1回拍出量が増加し、酸素の取り込み効率が向上する。また、短期間でのVO2max向上が期待できる。

最大心拍数(HRmax)= 220 – 年齢

LSD(ロングスローディスタンス)

ロングスローディスタンス(LSD)トレーニングは、長時間にわたり低~中強度の運動を持続させるトレーニングです。

筋肉や心肺機能を向上させ、エネルギー供給システムを効率化することに役立ちます。

  • 特徴:心拍数が最大心拍数の60%~70%程度の軽度から中程度の強度で、長時間(45分~2時間)持続的に運動する。
  • :45分以上のジョギング、サイクリング、スイミングなど、一定ペースで行う運動。
  • 効果:有酸素運動能力が向上し、酸素運搬能力が高まるとともに、基礎的な持久力が向上し、競技中のパフォーマンスを安定させる効果がある。

閾値トレーニング(テンポランニング)

閾値トレーニングは、乳酸が急激に蓄積し始める「乳酸性閾値」(LT:Lactate Threshold)付近での運動を行うことで、疲労耐性や持久力を向上させます。

VO2maxそのものの向上はインターバルトレーニングほど急速ではありませんが、運動中に酸素を効率的に利用する能力が高まります。

  • 特徴: 閾値付近(最大心拍数の80%~90%)で、20~30分程度の持続的な運動を行う。長時間の全力運動ではないため、少し息が切れる程度の強度を維持する。
  • : 20分間のテンポランニング、ペース走など。全力ではなく、ペースを少し速めたランニングやサイクリング。
  • 効果: 乳酸の蓄積を遅らせる能力を高め、長時間にわたる高強度運動が可能になる。また、持久力とVO2maxの間接的な向上も期待できる。

クロストレーニング

クロストレーニングは、異なる運動種目を組み合わせて行うトレーニング法です。

ランニング、サイクリング、水泳、スキーなど、異なるスポーツや運動を取り入れることで、特定の筋群や関節に過度な負担をかけることなく、全身の持久力とVO2maxの向上を目指します。

  • 特徴: 異なる運動種目を日によって切り替えて行う。
  • : 週3日ランニング、1日サイクリング、1日水泳というように、異なる運動を組み合わせる。
  • 効果: 体の異なる部分をバランスよく鍛えることができ、体に多様な刺激を与えることで全身の持久力が高まり、VO2maxの向上だけでなく、過度な疲労や怪我の予防にもつながります。

坂道トレーニングや階段トレーニング

坂道トレーニング階段トレーニングは、地形を利用した強度の高いトレーニングです。

傾斜を使って負荷を高めることで、短時間で心肺機能を刺激し、VO2maxの向上を促します。

筋力トレーニング的な要素も含まれ、脚力や体幹の強化にも役立ちます。

  • 特徴: 傾斜のある坂道や階段を使って、高強度で登る運動を行う。短時間で最大心拍数に近い状態に到達できるため、心肺機能に強い刺激を与えることが可能。
  • : 坂道ダッシュや階段ダッシュ(30秒~1分)、その後の回復歩行を繰り返し、これを5~10セット行う。
  • 効果: 心肺機能の向上に加えて、筋力や筋持久力が高まり、競技パフォーマンス全体の向上が期待できる。

レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)

レジスタンストレーニングも、VO2maxを向上させるのに役立ちます。

筋力が向上すると、運動時の効率が高まり、エネルギー消費が抑えられるため、長時間の運動をより快適に行うことができます。

特に全身的な筋力向上は、持久系運動のパフォーマンスを支えるために必要です。

  • 特徴: 大筋群を使った基本的な筋力トレーニング(スクワット、デッドリフト、ランジなど)や、体幹を鍛えるエクササイズが重要。
  • : 週2~3回、筋力トレーニングを取り入れる。回数や重量は個人のフィットネスレベルに応じて調整する。
  • 効果: 筋肉の酸素利用効率が改善し、持久力向上に役立つ。また、筋力が増すことで全身の運動効率が向上し、疲労が遅れるため、より長時間の高強度運動が可能になる。

まとめ

VO2maxの向上は、持久力向上やパフォーマンス強化において重要な要素です。

適切な推定値算出方法やトレーニング方法を活用することで、効率的にVO2maxを高めることができます。

スポーツ現場でのテストやトレーニングを通じて、目標達成に向けた一歩を踏み出しましょう。

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