はじめに
ラジオ波療法(TECAR/CRET)は、スポーツ現場では痛みを下げて運動療法(エクササイズ)を進めやすくする補助として位置づけるです。
結論から言うと「当てれば治る」ではなく、主に痛みの軽減(短期)で、しかも研究間の条件がバラバラです。
ラジオ波療法(TECAR/CRET)とは
ラジオ波療法とは高周波の電磁波を用いて、体内の水分に摩擦熱を生じさせ、組織を内部から温めることにより疼痛軽減や機能改善を狙う物理療法です。
容量性/抵抗性モードなど機器設定で、熱の入り方(狙う組織の性質)を調整します。
- TECAR(Transfer of Energy Capacitive and Resistive:容量性抵抗エネルギー伝達)
- CRET(Capacitive and Resistive Electric Transfer:容量性および抵抗性電気伝達)
ラジオ波療法の効果
メタアナリシス、システマティックレビュー、ランダム化比較試験(RCT)の論文を中心に紹介します。
スポーツ外傷・障害を対象にしたメタアナリシス
スポーツ関連の筋骨格系障害を対象にしたシステマティックレビュー&メタアナリシス(2025年)では、TECARが痛みを有意に軽減する可能性が示されています。
一方で、研究のばらつき(異質性)が中等度〜非常に高い範囲で、プロトコルの統一が課題とされています。
筋骨格系の痛みのメタアナリシス

スポーツに限定しない筋骨格系疼痛のシステマティックレビュー&メタアナリシス(Galen Medical Journal, 2022)でも、痛み改善の方向性がまとめられています。
ただしこちらも異質性が高く、部位・病期・照射条件で結果が変わり得る点に注意が必要です。
TECAR療法は理学療法と併用した補完療法として有用であると結論付けられています。
CRETを扱ったシステマティックレビュー
CRET(容量性・抵抗性)のシステマティックレビュー(Int J Rehabil Res, 2020)では、痛み・QOL・障害の改善が示唆されています。
一方、低リスク(バイアスが少ない)研究が限られる点が明記されています。
スポーツ現場で活用できるポイント
股関節・鼠径部(内転筋由来の慢性痛)
アスリートの慢性内転筋由来の鼠径部痛に対する、偽治療(シャム)対照RCTでは、TECAR群で痛みが有意に低下し、股関節内転ROMも一部で改善が示されました。
ただし二次評価項目には統計的に有意な差が認められない項目もありました。
股関節・鼠径部痛(内転筋由来の慢性痛)
アスリートの慢性内転筋由来の鼠径部痛に対する、偽治療(シャム)対照RCTでは、TECAR群で痛みが有意に低下し、股関節内転ROMも一部で改善が示されました。
ただし二次評価項目には統計的に有意な差が認められない項目もありました。
膝前面痛に運動療法+ラジオ波が有効
膝蓋大腿痛症候群(patellofemoral pain syndrome)に対して、運動療法に高周波放射による単極性誘電体透熱療法(MDR:Monopolar dielectric diathermy by emission of radiofrequency)を追加した研究では、運動療法単独より痛み・障害がより改善したと報告されています。
スポーツ現場では「痛みの壁を下げて運動量を確保する」用途に活用できます。
慢性腰痛:偽治療対照RCTも出ている
慢性腰痛(CLBP:chronic low back pain)に対する単盲検RCTでは、モノポーラ型のラジオ波ダイアサーミーが偽治療より痛み・障害などで改善が示されています。
ラジオ波の効果
スポーツ外傷・障害を除く健常者や周辺研究では、皮膚・筋温、微小循環(マイクロサーキュレーション)などの変化が検討されています。
臨床的には「温める→動かす」で可動域が拡大したり筋収縮がしやすくなる、という説明が最も合理的です。
エビデンスは「疼痛軽減」に集中していますが、研究のばらつきが大きいため、単独効果での過信は禁物です。
現時点では「運動療法の前に、運動療法と併用しながら」ラジオ波を用いることで効果が発揮できると考えられています。



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