シンスプリントは脛(すね)の内側の痛み

直接的な発症要因は下腿筋群の牽引ストレスです。
これらを引き起こす要因としては下記が挙げられます。
- 下腿後面の筋…後脛骨筋やヒラメ筋などふくらはぎの奥の筋肉
- 牽引ストレス…引っ張られる力、張力
- 長母趾屈筋…足の親指を曲げるときに使う筋肉
放っておくと疲労骨折に至る侮れないスポーツ障害です。
痛みが強くならないうちに、整形外科を受診しましょう。
シンスプリントが疑われたら、自身で判断せずに整形外科を受診することをおすすめします。
原因は同じ動作の繰り返しによる筋肉の張り
前述の通り、直接的な発症要因は下腿筋群の牽引ストレスです。
これらを引き起こす要因としては下記が挙げられます。
扁平足(足底アーチの低下や回内足)
足関節背屈可動域の低下
下腿筋群の過緊張
股関節の筋力低下(特に外転、外旋の筋力)
これらの要因が動的アライメント不良(動作時に正しい関節の方向を向いていないなどの骨配列不良)を起こして発症するケースがほとんどです。
走る競技で発症しやすい
競技種目は陸上競技(主にトラック競技やマラソン)、サッカー、バスケットボール、バレーボール、野球など、ランニングだけでなく、跳躍も行う競技で発症します。
動作不良や筋機能の低下がリスクに
ランニング動作において、動的アライメント不良を起こしていることが多いです。
特に、シンスプリントの場合は下記のような動作不良がみられます。
膝が内側に入りやすい
つま先が外に向きやすい
膝のみで動作しやすい(股関節の動きが少ない)
足のアーチ(土ふまず)が低下しやすい
専門家でなければ、動作の評価や動作の修正も難しいかもしれません。
スマートフォンなどで正面や後方、側方などからランニング動作を撮影し、スロー再生などで確認してみるとわかりやすくなります。
シンスプリントの急性期の対処法
初期の炎症症状が強いとき、まずは練習から外れるなど、活動を制限します。
局所を氷で冷やし、抗炎症薬を用いることも有効です。
ステロイド注射と超音波治療も、炎症の緩和に有用であると報告されています。
そのため、できる限りスポーツドクターまたはかかりつけの整形外科医に診てもらい、適切な治療を受けましょう。
痛みが治まったらすべきこと
急性炎症が治まってきたら、すぐに競技復帰してはいけません。
ストレッチや筋力エクササイズ、動的アライメント不良を修正し、再発予防を行います。
足関節背屈の可動域を改善させる

足関節の背屈ができないと、踵をつけたまま深くしゃがむことができません。
写真のように膝を床についてしゃがみ、立てている膝を前に押し出します。
この時、立てている膝の方の踵は床につけておきます。
ふくらはぎの筋肉のストレッチ感を感じながら伸ばしましょう。
この姿勢で足首の前側が詰まる感覚のある人もいますが、あせらず毎日続けましょう。
体重は母趾球にのせる

つま先立ちをするときに、母趾球に体重をのせる訓練をしましょう。
小趾球(足の小指の付け根)ばかりで床や地面を蹴ると、力の伝達がうまくいかず、シンスプリント発症リスクが高まります。
「小指側を完全に浮かせる」わけではありません。
母趾球と小趾球でバランスよく接地し、効率よく力を伝達するということです。
偏りなく安定して蹴ることが重要です。
足趾の運動も忘れずに
足趾開排運動やショートフットエクササイズ、タオルギャザーなどで足底アーチ保持する訓練を行います。
足趾開排運動は足趾(そくし:足の指)を力いっぱい広げる運動です。
ショートフットエクササイズは踵と足趾を近づけて、足底アーチを挙上させる運動です。
タオルギャザーは足趾でひろげたタオルを手繰り寄せる運動です。
また足趾で「ビー玉掴み」を行うこともあります。
アライメント不良の調整

片脚立ちをして、そのまま浅くスクワットをしてみましょう。(写真ほどしゃがむ必要はありません)
足の裏の重心の動揺が大きいと、接地時するごとにバランスを崩している可能性が高いです。
また、膝の方向とつま先の方向が一致していることも確認しましょう。
膝の向きがコントロールできない場合、股関節周りの筋力が弱い可能性が高いです。
片脚バランストレーニングや股関節の筋力強化トレーニングにより、動的アライメント不良を改善していきましょう!
シューズは足に合ったものを
アーチの低下はインソールを入れることによって改善することもあります。
しかし、インソールだけでなく、アウトソールの減りやミッドソールのクッション性もしっかりとチェックしておくべき項目です。
また、走路に適したシューズであるか、自分の足に適合したシューズであるかという点も非常に重要な点です。
ウォーミングアップは十分に
体が眠った状態で急に走り始めることは危険です。
十分にウォーミングアップを行い、正常な動作ができるように体を目覚めさせてから、ランニングなどの本運動に入りましょう。
スポーツ復帰は段階的に
前述の通り、安静にしていて痛みがなくなったからといって、いきなりスポーツに復帰すると再発します。
局所の痛みが治まり、日常生活に支障がなくなったら、まずはウォーキングやゆっくりとしたジョギングから開始します。
痛みの再発や動作不良がおこらない状態が確認できたら、徐々に強度を上げていきます。
ジョギングから少し速いランニング、それができたらスプリント走、という形で段階的に移行します。
ボールを使用した競技動作が許容できる範囲になったら、部分練習(ウォームアップや患部を使わない動作など)から始め、徐々に全体練習、試合へと段階的に参加の範囲を拡げていきます。
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