アスレティックポジションとは?
アスレティックポジション(Athletic Position)は、スポーツにおける準備姿勢、待機姿勢、構え姿勢ことです。
アスレティックスタンス(Athletic Stance)やパワーポジション(Power Position)とも呼ばれています。
あらゆる競技の基本の構えとなる姿勢を Universal Athletic Position(ユニバーサル・アスレティック・ポジション)と呼びます。
ユニバーサルは「普遍的」、「汎用」という意味が含まれ、一般的なスポーツ動作のベースとなる姿勢を意味します。
適切なアスレティックポジションの習得は、スポーツ外傷・障害の予防やパフォーマンスの向上につながります。
力強く動き出すための姿勢
アスレティックポジションは次の瞬間に、スタートダッシュ動作、ジャンプ動作、着地動作、切り返し動作などが力強く行えるための姿勢です。
プライオメトリクス(下肢のバネを使うようなジャンプトレーニング)の姿勢や、クイックリフト(特にハングクリーンやハングスナッチなど)の姿勢として習得必須のポジションです。
理想のアスレティックポジション
理想のアスレティックポジションを見つける方法を紹介します。
- 足は腰幅か肩幅くらいに広げて立つ
- 膝に手をついたスクワット姿勢をとる
- 膝とつま先が同じ方向を向く
- 膝がつま先より前に出すぎていないか確認する
- 膝についた手を離す
- 肩甲骨を軽く寄せ、胸を張る
この姿勢をとった状態で、肩を前後左右に軽く押してもらい、姿勢を維持します。
姿勢が崩れないポイントがアスレティックポジションです。
誤ったアスレティックポジション
背中が丸まったり、膝が前に出すぎてしまったりすると、姿勢そのものによってスポーツ外傷・障害が発生したり、次の動作が遅れたりします。
必ず理想のアスレティックポジションを身につけましょう。
アゴを引け!は間違い!
誤ったアスレティックポジションでは、背中が丸まるものの、前方への視界を確保するために顔は前に向けます。
この姿勢はアゴが前に出ているように見えます。
指導者に「アゴを引け!」と言われると選手は下を向いてしまいます。
背中をまっすぐに伸ばし、ショルダーパッキングにより肩甲骨を内転・下制位に保つことで、上体が前を向き、自然とアゴを引いた姿勢ができます。
アゴが上がっているからといって短絡的に「アゴを引け!」といった指導ではなく、全身の姿勢を見直すことが大切です。
競技によって多種多様
アスレティックポジションと一言で言っても、多種多様です。
競技種目やポジション(守備位置)によって、適切なアスレティックポジションは異なります。
競技分類 | 競技種目 | アスレティックポジション |
---|---|---|
球技系 | サッカー、野球、バスケットボール、バレーボール、テニス、バドミントン等 | ボールや相手選手の動きに備えた姿勢 |
記録系 | 陸上競技(短距離・跳躍)、競泳 | スタート姿勢 |
格闘技 | 柔道、レスリング、ボクシング、相撲 | 攻撃、防御に備えた姿勢 相撲は立ち合いの姿勢 |
野球の守備位置による違い
野球の守備位置の違いを例にあげます。
捕手の捕球姿勢はかなり深くしゃがんだ非常に特殊なアスレティックポジションですが、セカンド送球の際に右脚に乗せてトップをつくった姿勢がアスレティックポジションに最も近い姿勢です。
内野手の守備姿勢は打球に対し左右上下に素早くステップして対応できる低めの姿勢。
外野手の守備姿勢は打球に対して前後にも素早くアプローチできる高めの姿勢です。
同じ競技でも守備位置によってこれだけ姿勢が異なります。
着地姿勢
着地の際に速やかにアスレティックポジションが使えると、素早く次の動作に移行できます。
逆に着地姿勢でアスレティックポジションがとれない(深すぎる着地姿勢)と、その後の動き出しが緩慢になります。
ドロップスクワットで着地のアスレティックポジションを習得できるようにしておきましょう。
片脚アスレティックポジション
競技動作の中では、片脚立ちでのアスレティックポジションが多様に存在します。
野球のバッティングの構えで、軸足に体重を乗せボールを待つ姿勢も片脚アスレティックポジションです。
また、切り返しの瞬間も、一瞬でこの姿勢がとれることで「動→静→動」にかかる時間が短縮されます。
バレーボールのスパイク動作、バスケットボールのリバウンドジャンプなどからの着地時は、不意に片脚着地となることもあります。(理想は両脚着地ですが…。)
これらの場面に備えて片脚アスレティックポジションを習得しておくことは、スポーツ外傷・障害の予防やパフォーマンス向上には欠かせません。
プレパレーションとして
プレパレーションは、スポーツやトレーニングのメインプログラム(本運動)に入る前の準備段階として行う「準備運動」の一部です。
アスレティックポジションを準備段階で確認しておくことは、スポーツ外傷・障害の予防、パフォーマンスの向上に不可欠です。
プレパレーションの一部として毎回ドロップスクワットなどを行い、アスレティックポジションを習得しましょう。
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