ゾーンとは
スポーツにおける「ゾーン」は、選手自身が極限の集中に入った状態をいいます。
トップアスリートも1度はこのような状態を経験していますが、毎回のように経験することはありません。
ゾーンを再現することは容易ではありません。
サイキングアップとリラクセーション
サイキングアップ(Psych up)は直訳すると「興奮する」「刺激される」「心構えをさせる」という意味です。
「さがり」の状態から至適ゾーンに持っていくために、覚醒レベルを高める手法です。
リラクセーション(Relaxation)は直訳すると「休養」「くつろぎ」「弛緩」「緩和」という意味です。
「あがり」の状態から至適ゾーンに持っていくために、過剰に興奮した状態を緩める手法です。
サイキングアップ
「さがり」の状態から至適ゾーンに持っていくために、覚醒レベルを高める手法です。
呼吸法
呼吸法はリラクセーションの手法としても用いられますが、サイキングアップの場合は短く早い呼吸を繰り返します。
ロウソクの火を吹き消すときのように、口をすぼめて強く息を吐き出します。
「フッ・フッ・フッ」というように、強く短く早い呼吸を繰り返すと良いです。
心拍数の増加
心拍数を増加させることによって覚醒レベルを高めます。
その場で腕を振りながらもも上げをするなど、簡単な身体運動を繰り返します。
身体的ウォームアップが不足している場合は、ジョギングや動的ストレッチ、モビリティエクササイズなどを行うのも良いでしょう。
プレーに集中する
覚醒レベルが低下すると、プレーへの注意集中も散漫になりがちです。
コーチや周囲の選手が「ボールに集中!」、「〇番をマークしろ!」などといったアドバイスを与えます。
ゲームやプレーそのものに没頭するようなきっかけを作ることで覚醒レベルを上げます。
今のプレーに全力を傾注することを思い出させます。
セルフトーク
積極的な独り言を口にします。
下記のような言葉を自分に言い聞かせるように強く言います。
最終目標を思い起こす
自分が最終目標として持っているものは何か
アスリートとしての自分の夢は何だったか
もう一度、最終目標を思い起こして再確認します。
事前にノートや目標設定用紙などに記入し、記入したものを見返すのも効果的です。
リラクセーション
「あがり」の状態から至適ゾーンに持っていくために、過剰に興奮した状態を緩める手法です。
呼吸法
呼吸法は最も一般的なリラクセーションの方法です。
- お腹を膨らませながら、4秒かけて鼻から吸う
- 全身に力を入れて4秒止める
- お腹を凹ませながら8秒かけて口から息を吐き、全身の力を抜く
これにより上がりすぎてしまった心拍数を低下させます。
漸進的筋弛緩法
立位にて筋の緊張とリラックスを繰り返し行うものです。
- 両肩を後ろに回し、左右の肩甲骨を寄せる
- このとき両肩には力を入れるが肘には力を入れない
- 両肩を挙上し、両肩の間に首が挟まるように顎を引いて両手をぶらぶらする
- 両肩と両腕を一気に落とす
- このときに身体の後ろに落とすつもりで行うとよい
ホールド&リラックスの要領で、力が入りすぎてしまった筋をリラックスさせます。
自律訓練法
注意集中や自己暗示の練習により、全身の緊張を解く方法です。
慣れないうちは、暗く静かな場所などで仰向けに横たわり、ゆったりとした音楽を聴きながら行うとうまくいきます。
安静練習 | 気持ちがとても落ち着いている |
重感練習 | 両腕両脚が重い |
温感練習 | 両腕両脚が温かい |
心臓練習 | 心臓が静かに規則正しく打っている |
呼吸練習 | 楽に呼吸をしている |
腹部温感練習 | 胃のあたりが温かい |
額涼感練習 | 額が涼しい |
ゾーンは最もバランスの良い位置
ゾーンは「さがり」と「あがり」の中間にある、最もバランスのとれている位置に存在します。
現時点でどの程度の「さがり」の状態なのか、あるいはどの程度の「あがり」の状態なのかを見極めることも大切です。
サイキングアップかリラクセーションのどちらを、どのくらいの強さ、時間でアプローチした方が良いのかも、試合経験を積みながら掴んでいけると良いですね。
コメント