メラトニンは「睡眠ホルモン」
メラトニンは「睡眠ホルモン」として知られ、体内時計に働きかけて覚醒から睡眠へと自然に切り替える作用を持っています。
目が覚めてから約14〜16時間後にメラトニンが分泌され始め、深部体温が徐々に低下することで眠気を感じるようになります。
このメカニズムによって、メラトニンは夜に快適な睡眠を促します。
メラトニンの抗酸化作用
メラトニンは睡眠誘導だけでなく、抗酸化作用を持つことでも知られています。
この抗酸化作用は、細胞の代謝を促進し、疲労回復や疾病予防、さらには老化防止にも役立つと言われています。
ただし、メラトニンの分泌量は年齢とともに減少します。
そのため、年を重ねるにつれて朝早く目が覚めたり、夜中に何度も目が覚めるといった症状が現れることがあります。
朝食でたんぱく質を摂ると、夜のメラトニン生成が促進される
メラトニンは深い眠りをサポートするホルモン
トリプトファンの働き:朝に摂ることが重要な理由
トリプトファンはメラトニンの生成に関わっています。
トリプトファンからメラトニンが生成されるまでには14~16時間かかります。
つまり、朝トリプトファンを摂取すると夜分泌するメラトニンが十分に生成されることになるのです。
トリプトファンは必須アミノ酸の一つ
トリプトファンは、9種ある必須アミノ酸の一つです。
必須アミノ酸と言えば「フロバイスヒトリジメ」で覚える、体内で生成されないアミノ酸のことです。
たんぱく質とトリプトファンが豊富な食品一覧
たんぱく質はアミノ酸から構成されており、肉、魚、卵、大豆製品などの主菜や乳製品に多く含まれています。
メラトニンを作るためにはトリプトファンを摂取する必要があります。
トリプトファンはアミノ酸の一部で、アミノ酸はたんぱく質の成分の一部です。
つまり、朝食でトリプトファンが豊富な「たんぱく質を多く含む食品」をとることで、夜に睡眠ホルモンであるセロトニンが十分に分泌され、快適な睡眠がとれることになります。
ビタミンB6とたんぱく質を一緒に摂取するメリット
たんぱく質とビタミンB6を一緒にとると、より効率的にメラトニンを生成できます。
ビタミンB6は魚や鶏肉のほかに、ピーマン、ブロッコリー、カボチャなどの緑黄色野菜に豊富に含まれています。
魚や鶏肉を使った主菜や、緑黄色野菜を多く組み合わせた副菜を摂取することで、たんぱく質とビタミンB6を同時に摂取することができます。
トリプトファンが多く含まれている食材は主に、大豆製品(豆腐・納豆・味噌・しょうゆなど)、乳製品(チーズ・牛乳・ヨーグルトなど)、穀類(米や小麦粉など)や、ごま・ピーナッツ・卵・バナナにも含まれています。
ビタミンB6はメラトニン生成を助ける
魚やピーマン、ブロッコリーなどで一緒に摂ると効果的
植物性たんぱく質の方が吸収が良い
動物性たんぱく質に含まれるBCAAというアミノ酸はトリプトファンを脳へ取り込みにくくするため、植物性たんぱく質から摂ることをおすすめします。
ただし、動物性たんぱく質も「炭水化物(穀類、いも類、果物など)」や「ビタミンB6」を一緒に摂ると、血糖が上昇してBCAAが筋肉に作用するため、脳内でのトリプトファンの合成が促進されます。
つまり、バランスよく主食・主菜・副菜を揃えて食事をすることで、必要とされるトリプトファンは摂取できます。
朝日を浴びて体内時計をリセット
時計遺伝子は24時間のリズム(概日リズムまたはサーカディアンリズム)の生成の分子メカニズムに関わる一群の遺伝子を指しています。
朝食を摂ることで臓器などにある時計遺伝子が、明暗に関係なく朝食によって動き出します。
一方で、脳にある時計遺伝子は、目の網膜を通して入ってきた光を受けることで14~16時間メラトニンの分泌が止まります。
1日のリズムをつくるためには、朝(少なくとも午前中)日光を浴びることは不可欠です。
曇りや雨の日でも、カーテンを開けて明るい外を見るように心がけましょう。
朝日を浴びるとメラトニン分泌がリセットされる
朝食と光で体内時計を整える
幸福ホルモン「セロトニン」もアップ
朝に摂取されたトリプトファンは、日中は脳内でセロトニンに変化します。
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれています。
ノルアドレナリン(神経を興奮)やドーパミン(快感を増幅)と並び、感情や精神面、睡眠など人間の大切な機能に深く関係する三大神経伝達物質の1つです。
脳は緊張やストレスを感じるとセロトニンを分泌し、ノルアドレナリンやドーパミンの働きを制御し、自律神経のバランスを整えようとします。
ストレスが溜まっている時に温泉に入ったり、リラックス効果のあるストレッチやヨガ、軽い運動などを行ったりすると癒されるのは、セロトニンが増え、ノルアドレナリンが減少するからです。
トリプトファンは日中セロトニンに変わる
セロトニンは幸福感と自律神経を安定させる
たんぱく質の摂取で代謝が上がる
食後しばらくすると体温が上昇し、体が温かくなることを感じる人は多いと思います。
この代謝の増加を食事誘発性熱産生(DIT:Diet Induced Thermogenesis)や特異動的作用(SDA:Specific Dynamic Action)と呼びます。
食後のたんぱく質摂取で代謝が上がる
体温が上がり、消費エネルギーが増加
これについては、下記の記事で紹介しています。
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