デッドリフトとは
デッドリフトはフロアに置いたバーベルを持ち上げるコア(主要)エクササイズの一つです。
スクワット、ベンチプレスと並ぶ「ビッグ3」の一つで、体重より重い高重量を持ち上げるエクササイズです。
一見、腰に強い負担が掛かりそうな種目ですが、バルサルバ法を用いて腹圧を高めることで腰部の負担を減らすことができます。
また、バーが体の近くを軌道することが非常に重要です。
これにより腰部に過度な負荷が掛からずに安全に動作することができます。
RDL
今回はルーマニアンデッドリフト(RDL:Romanian Deadlift)と呼ばれる、膝を深く曲げずに(軽く曲げた状態のまま)上体を前傾させるデッドリフトを例に挙げます。
ルーマニアンデッドリフトは、ハムストリングスを主動筋としますが、同時に肩甲骨を内転・下制位に保つショルダーパッキングを鍛えるのに重要なエクササイズです。
ショルダーパッキングを維持する
ルーマニアンデッドリフトの場合、基本的にデッドリフトのフォームでバーを挙上した姿勢がスタートポジションです。
正しいデッドリフトのフォームは、バーが下降する際も上昇する際も、原則として体から離れません。
ミッドサイポジション(画像中央)でも、ボトムポジション(画像右)でも、下肢(大腿部または下腿部)前面にバーが擦れるくらい近づいています。
全ての局面において、ショルダーパッキングが極まっていると、上肢が常に後方に位置するため、自然とバーが体の近くを通ります。
ショルダーパッキングを使えないと…
こちらの画像は、すべての局面でショルダーパッキングができていないルーマニアンデッドリフトです。
スタート局面(画像左)で既にバーが体から離れています。
ミッドサイポジション、ボトムポジションになるにつれ、徐々に体からバーが離れていきます。
この状態でデッドリフトのを続けることにより、腰部への負担が大きくなり、腰痛発症のリスクとなります。
「バーを体の近くに引け」は間違い
選手がデッドリフトをしている際にコーチが「バーを体の近くに引け」、「バーがももの前を擦るように」と指導するのを耳にします。
このような指導により、選手は無理やりバーを体に引き寄せようとしますが、これは大きな間違いです。
正しくは「すべての局面で肩甲骨を寄せて引き下げた状態を維持しろ」です。
ショルダーパッキングが抜けるとバーが体から離れますが、ショルダーパッキングを維持しておくことで、自然とバーが体の近くを通るのです。
ヘックスバーデッドリフトの注意点
ヘックスバーはその名の通り「六角形のバー」です。
バーが下肢前面に当たらずにデッドリフトを行うことができる画期的なバーです。
一方で、ショルダーパッキングの感覚が得られにくいことや、グリップ幅が調整できないことについては注意が必要です。
例えば、小柄な選手にとっては、グリップ幅が広すぎる場合もあります。
導入の際には十分に配慮しましょう。
正しいデッドリフトフォームを獲得しよう
ボトムポジションなど、強い前傾姿勢ではショルダーパッキングが抜けがちです。
ショルダーパッキングができないような高重量のデッドリフトでは腰痛のリスクが非常に高まります。
もちろん、自体重や軽重量であってもショルダーパッキングが維持できるようにしておく必要があります。
また、股関節機能を向上させるヒップヒンジも重要です。
ぜひ、ショルダーパッキングでのデッドリフトを習得してみてください。
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