はじめに
トレーニングのピリオダイゼーションとは、トレーニングを段階的に分け、体の適応を促進し、最終的に試合期で最大のパフォーマンスを発揮できるようにする計画手法です。
本記事では、筋肥大・筋持久力期、最大筋力期、爆発的パワー期、試合期について解説し、それぞれのフェーズにおけるトレーニングのポイント(負荷、回数、セット数、セット間休息時間)を紹介します。
また、ピーキングやテーパリング、ディトレーニングといった関連概念についても触れながら、スポーツパフォーマンスの最大化を目指します。
ピリオダイゼーションの基本概念
ピリオダイゼーション(Periodization)は、トレーニングをいくつかのフェーズに分けて計画し、体の適応を段階的に促進する手法です。
筋肉や神経系が異なる負荷や刺激に順応することで、最終的に目指す試合期において最高のパフォーマンスを発揮することができます。
これにより、トレーニングの効果を効率的に引き出し、競技パフォーマンスを向上させることが可能です。
目的に応じたフェーズ
筋肥大・筋持久力期(Hypertrophy & Muscular Endurance Phase)
筋肥大・筋持久力期は、筋肉量を増やし、局所持久力の基礎を構築する段階です。
関節や靭帯を強化し、次の段階での高強度トレーニングに耐えられる体作りを行います。
筋肉を大きくし、持久的な収縮力を鍛えることがポイントです。
ポイント: 筋肥大を目的とする場合は中程度の重量で6〜12回の反復が理想的です。筋持久力を意識する場合は回数を増やし、短いインターバルで体の持久力を高めます。
最大筋力期(Maximal Strength Phase)
筋肥大・筋持久力期で得た筋量を基盤に、最大筋力の向上を図ります。
ここでは神経系の適応を促し、筋繊維の動員力を高めるトレーニングが行われます。
ポイント: 低回数・高負荷でトレーニングを行い、筋力を高めると同時に、セット間のインターバルを長めに設定して神経系をしっかり回復させます。
パワー期(Power Phase)
パワー期では筋力を瞬発的に発揮する能力を高め、スピードと力を同時に発揮するためのトレーニングが行われます。
軽中程度の重量で高速な動作を繰り返すことで、神経系のパワー発揮能力を強化します。
- 目的:1回(単発)パワー向上
- 負荷重量:80-90%1RM(高負荷)
- 回数:1〜2回
- セット数:3〜5セット
- 休息時間:2〜5分
- 目的:連続パワー向上
- 負荷重量:75-85%1RM(中負荷)
- 回数:3〜5回
- セット数:3〜5セット
- 休息時間:2〜5分
ポイント: 最大スピードを意識した動作を行うことで、瞬発力の向上が期待できます。セット間の休息を十分に取り、全力で動作を行えるようにします。
試合期(Competition Phase)
試合期は、これまでのトレーニングで培った力を実戦で発揮するためのピーキングを目指します。
この時期にはテーパリングを行い、徐々に負荷を軽減しつつ強度を維持して疲労を取り除きます。
- 目的:ピーキング
- 負荷重量:85-95% 1RM(高負荷)
- 回数:1〜3回
- セット数:2〜3セット
- 休息時間:3~6分
ポイント: ピーキングを行いながら、トレーニングボリュームを抑え、体が最高のコンディションで試合に臨めるように整えます。テーパリングで疲労をコントロールし、パフォーマンスのピークを狙います。
移行期(積極的休養)
試合が終わった後やオフシーズンに行うディトレーニング(Detraining)は、トレーニングの負荷を軽減し、体と神経系をリフレッシュさせる期間です。これにより、疲労や怪我のリスクを減らし、次のトレーニングサイクルへの準備を行います。
ポイント: 軽い負荷でリカバリーを重視したトレーニングを行い、筋肉や神経系が回復する時間を確保します。
補助エクササイズ
筋力向上 | スポーツ傷害予防 | |
強度 | 75~80%1RM | 60~65% |
回数 | 8~10回 | 15~20回 |
セット数 | 3セット | 3セット |
休息時間 | 1~2分 | 1~2分 |
ピリオダイゼーションを活用したトレーニングの利点
ピリオダイゼーションは、各フェーズで異なるトレーニング目標を設定し、体の適応を段階的に進めることで、試合期におけるパフォーマンスの最大化を目指します。
負荷重量や回数、セット数、セット間休息時間などを調整することで、トレーニング効果を効率的に引き出すことが可能です。
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