トレーナーバッグ必携品
アスレティックトレーナーは様々な競技種目のスポーツ外傷・障害に対応ができるための道具や用具を揃えています。
今回はアスレティックトレーナーが取り揃えている必需品のうち、傷の手当のために揃えておきたい衛生材料を紹介します。
創傷の対応手順
スポーツ現場での創傷部位への救急対応手順は下記の通りです。
- 創傷部を流水(水道水)で洗浄
- 出血部位の確認(創傷の大きさ、深さなど)
- 直接圧迫止血
- 創傷被覆材で保護
近年は傷口を乾かさずに治すモイストヒーリング(湿潤療法)が主流です。
治りが早く、かさぶたを形成せず、傷跡も残りにくい治療方法です。
スポーツ現場での救急対応の後、必ず医療機関での治療を受けましょう。
創傷被覆材
ハイドロコロイド製剤
傷口や肌にやさしく、剥がす時に痛くないハイドロコロイド素材です。
創傷部位を乾かさずに、湿潤の状態で保護することができます。
適度な吸収力があり、傷口からの浸出液は吸収して白く膨らみます。
肌に近い色調で目立ちにくく、また柔らかくシワになりにくいので貼りやすいです。
創傷部より一回り大きいサイズにカットし、角を落として丸くします。
湾曲した部位には切り込みを入れるとフィットしやすくなります。
ズイコウパッド
広範囲の擦過傷や浸出液の多い傷などには、浸出液を吸収し、傷口に貼りつかないズイコウパッドを用います。
高吸収性のポリマーシートを使用した吸収パッドで、交換の際も痛みがありません。
使用方法は下記の通りです。
- 傷口を水道水または消毒液等で十分に洗浄する
- 消毒液を使用した場合は、傷口に消毒液が残らないように水道水等で十分に洗い流す
- ズイコウパッドを傷口よりもひと回り大きくカットし密着させる
- 傷口からすれないように包帯、ネットまたはテープなどで固定する
- テープ等で固定する場合は周囲が一部開放状態となるようにとめる
- 浸出液が周囲からもれ出すまで使用可能(ただし、少なくとも1日1回の交換が推奨される)
滅菌ガーゼ
滅菌ガーゼは血液や浸出液の吸収や消毒液のふき取りに用います。
また、出血している傷口に押し当てて直接圧迫止血を行うのにも用いるため、個包装で滅菌済みのガーゼを使用することをお勧めします。
ハイドロコロイド製剤やズイコウパッドからしみ出る浸出液を吸収するのにも使用します。
絆創膏
小さく浅い創傷には絆創膏を使用することもあります。
創傷被覆材固定テープ
防水フィルム
ハイドロコロイド製剤やズイコウパッド、絆創膏はそのままにしておくと汗や水によって剥がれます。
上から防水フィルムを重ねることで剥がれ落ちるのを防ぐことができます。
自着性伸縮包帯
適度な伸縮性がある包帯で、ガーゼの固定に使用されます。
包帯どうしがくっつくため、留め具が必要ありません。
皮膚や体毛にくっつかない包帯のため、交換の際に痛みを伴うことがありません。
巻きにくい関節部の被覆などにもおすすめです。
サージカルテープ
ハイドロコロイド製剤やズイコウパッド、ガーゼ、絆創膏を仮止めするのに使います。
その他の衛生材料
ディスポーザブル手袋
手にぴったりフィットするプラスチックグローブは、油や薬品に強く作業性に優れ、劣化しにくい特性から、医療や介護現場、業種を問わず幅広く利用されています。
ニトリルグローブに比べフィット感、伸縮性には欠けますが、締め付け感の少なく、薄手で使いやすい特徴があります。
ラテックスアレルギー対策としても使用可能です。
ピンセット
傷口の処置でガーゼを使用したり、創傷被覆材を除去する際に使用します。
また、傷口に付着した異物(小石や砂、膿など)を除去するのにも使用します。
ターニケット(止血帯)
切断や大動脈の損傷による多量の出血が見込まれる場合などには中枢側を締め付ける間接圧迫止血を用います。
スクイズボトル
通常は水分補給用に使われますが、水道水を入れておき、流水で創部を洗浄するのに用います。
消毒液
創傷は流水でしっかりと洗浄しますが、水道水がない場面も想定されます。
念のため消毒液も持っておくとよいでしょう。
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