カテゴリーⅢは11分間なんだよね?
アスレティックリハビリテーションをまとめることってできるのかな?
どんなことに注意すればよいの?
では今度はカテゴリーⅢのアスレティックリハビリテーションの内容について詳しく見ていこう!
わーい!
JSPO-ATの概要
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の概要に関しては、下記の記事を参考にしてください。
実技試験は、理論試験を合格した者のみが進むことができます。
新カリキュラムの実技確認テストについてはこちらから
JSPO-AT実技試験の流れ
こちらも以前の記事で紹介しています。まずは全体像を確認しておきましょう。
評価のポイント
①評価実技能力
→アスレティックリハビリテーションプログラム処方に必要な機能評価のスキル
②プログラム作成能力
→傷害特性・競技特性・フィットネスレベルにあわせたプログラム作成
※プログラムとは複数のエクササイズメニューで構成されているもの
③エクササイズ指導能力
→エクササイズの適切な実技指導
④説明・コミュニケーション能力
→評価、エクササイズ指導及びリスク管理における必要なコミュニケーション
⑤リスク管理能力
→傷害特性、競技特性、フィットネスレベルを考慮した症状増悪や二次損傷のリスク回避
それでは、カテゴリーⅡのアスレティックリハビリテーションの流れについて見ていきましょう。
試験の流れ
- STEP1自己紹介
- STEP2問診
- STEP3機能評価
- STEP4プログラム作成
- STEP5エクササイズ指導
- STEP6今後の対応の説明
- STEP7質問がないか確認
試験開始
STEP1 自己紹介
競技者モデルはカテゴリーⅠと同じですが、カテゴリーⅡは別の競技者を想定しています。
初対面を想定していますので「こんにちは。トレーナーの〇〇です。」程度の挨拶はしておくと良いと思います。
競技者モデルは基本的にはトレーナーベッドか椅子に座っています。
アスリハプログラム処方に必要な機能評価
STEP2 問診
あまり時間がないため、問診内容は端的に、出題文と重複しない程度にとどめましょう。
出題文と合わせたうえで下記のことが確認できれば大丈夫です。
問診内容 | 聞き方 | 選手に求める回答内容 |
---|---|---|
受傷機転 | どのように痛めた? | ひねった方向や、痛みを感じた瞬間 |
疼痛部位 | どこが痛い? | 手が届く部位であれば人差し指一本で示してもらう |
疼痛や不安定感 | 痛い?不安定感? | 疼痛、不安定感、日常生活で感じるか |
疼痛や不安定感の増悪因子 | どうすると痛い?不安定? | 体重を掛けると、ひねると、力を入れると |
現在のリハビリレベル | 何ができる程度? | 患部にどのくらいの負荷をかけているか |
STEP3 機能評価
問診内容から現在の患部に掛けられる負荷を想定し、機能評価をしていきます。
ここでは何はできて、何はできないのかを明確にしましょう。
・非荷重か荷重位か
・両脚荷重は可能か
・歩行は可能か
・スクワット動作やカーフレイズは可能か
・患側片脚荷重/片脚立ちバランスは可能か
・ランジ動作は可能か
・ジョギングは可能か
・スプリント走は可能か
・ジャンプ動作やステップ動作は可能か
・競技動作やボール・ラケットなどを使用した動作は可能か
非荷重か、荷重位かについては、下記の記事を参考にしてください。
出題文や問診内容で想定できますが、荷重ができない場合は下記のような確認をします。
・関節運動時痛や不安定感
・可動域の健患比(目測で可)
・筋力発揮時痛
・筋力の健患比(徒手抵抗による評価で可)
STEP4 プログラム作成
プログラム作成に掛けている時間はありません。評価をしながら頭の中で整理しておきます。
一通り評価が終えたら、プログラムの方向性を競技者モデルに伝えます。
エクササイズ指導をしながらその人に合ったプログラムを作成します。
例えば、「ジョギングができるようになるまでの筋力強化エクササイズ」と出題されていた場合、歩行は安定してできるけど、ジョギングができない/またはやったことがないことが評価できたのであれば、歩行からジョギングまで段階的にステップアップしていけるプログラムを考えます。
その際に、必ず競技特性にも配慮します。競技者の復帰に向けた「モチベーションへの働きかけ」も怠らないようにしましょう。
傷害特性 | 配慮すべき点 |
---|---|
靱帯損傷 | 関節運動の方向や角度、特に関節にかかる剪断力や牽引力など |
筋損傷 | 筋の伸長レベルや収縮レベル |
軟骨損傷 | 関節運動の方向や角度、特に関節にかかかる圧縮ストレスや回旋ストレス |
競技特性 | 配慮すべき点 |
---|---|
走動作 | ピッチ、ストライド、加速距離、総走行距離 |
跳躍動作 | 着地の高さ/速さ、踏み切りの高さ/速さ |
切り返し動作 | 減速→静止→加速、ターンの角度や速さ、踏みかえ、反応 |
投球動作 | 合理的な投球フォーム、距離、投球数 |
あたり動作 | 外力に対する筋力発揮(等尺性→短縮性→伸長性)など |
フィットネスレベル | 配慮すべき点 |
---|---|
競技者モデルによる | 評価、エクササイズ指導中に適合させていく 意図的にリスクとなる代償動作を出すときもある |
エクササイズの適切な実技指導
STEP5 エクササイズ指導
ファーストチョイス種目
ファーストチョイスは、評価に基づき、できそうだけどもしかしたらできない可能性も秘めているエクササイズを指導します。
このエクササイズが可能か不可能かで、セカンドチョイスが変わってきます。
可否の判断は、競技者モデルの感じる痛みや不安感、違和感も加味します。
聴取しそびれて、自己判断で進めていかないよう気をつけましょう。
セカンドチョイスの種目
ファーストチョイスの種目が可能であった場合、次の段階の種目にステップします。何がどうのように段階が上がっているのかを競技者モデルに説明した上で進めていきましょう。
ファーストチョイスの種目ができなかった場合、何が原因でできなかったのかを考えます。
問題点 | 課題 |
---|---|
可動域 | 関節機能、筋の伸長性 |
筋力 | OKC、SCKC、CKCの段階付け、筋の収縮様式、筋力レベル |
調整力 | 可動域や筋力が問題ないが、上手く動かすことができない |
キューイング | 指導側の指示の仕方、どうのように動くのか伝わっていない |
代償動作はキューイングで修正可能なケースもあります。
修正できなかった場合は、問題点がはっきりした場合、問題点を解決する種目を入れます。
問題点がはっきりとイメージできない場合は、一段階レベルの低い種目を試みます。
いずれにしても、何ができていないからセカンドチョイス種目がこの種目になるのか、あなた自身の考えを競技者モデルにしっかりと説明しましょう。
原因がわからなかった場合も「こうなってしまうのですが、今の時点では原因がわからないので、少し段階を下げた種目を行っていきます」とはっきりと伝えましょう。
サードチョイス以降の種目
セカンドチョイスのように、段階を調節しながら、その人の今のレベルに合わせた種目を指導していきます。
ファーストチョイスやセカンドチョイスがスムーズにいくと、徐々に競技動作に近いところまでステップアップしていけます。
時間の関係上、すべての種目を行えません。
いずれの種目も、競技者モデルの競技の場面をイメージさせながら指導できるのがベストです。
検定員より「1分前です」の声が掛かるまでは指導を続けていきます。
STEP6 今後の対応の説明
検定員より「1分前です」の告知があったら、区切りのつくところでエクササイズ指導を終え、最後の説明に入りましょう。
エクササイズ種目が十分にできなくても下記のポイントをおさえれば問題ないでしょう。
・プログラムの全体像と今後の方向性(どのような段階があり、どうやったら復帰できるか)
・課題となったポイント
。患部のケアを怠らないこと(エクササイズ後のストレッチやマッサージ、RICE)
・患部外トレーニングについて
・プログラムのおさらい
STEP7 質問がないか確認
できれば時間内に質問がないか確認しましょう。伝え忘れていることがある可能性もあります。
質問があったら、わかりやすく端的に答えましょう。
まとめ
競技者モデルは傷害によって競技ができない状態です。フラストレーションもたまります。
復帰までのビジョンを明確にし、復帰までのプロセスや現時点での課題をしっかりと説明することが重要です。
試験は緊張するかもしれませんが、競技者モデルを本当に困っているアスリートだと思い、選手を助けるつもりで真摯に取り組みましょう。
ざっとこんな感じです。
合格率70%くらいだから、もっと簡単な試験だと思ってた…。出題パターンも多いんでしょ?
出題パターンは競技と傷害の組み合わせでざっと20パターンくらいあるかな。
競技動作を取り入れる復帰直前のものもあれば、固定除去後の可動域訓練や筋力訓練もあるから、かなり幅広く対策をしなければならないね。
ひえぇ…。大変だ…。
難関である理論試験を乗り越えた20%ほどの精鋭たちだけに、頑張って乗り越えてほしいな。
はーい…。頑張ります…。
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