はじめに
プロチームのトレーナーになるためには、医療国家資格の取得が不可欠です。
特に「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」はトレーナーとして重要な資格であり、さらに「柔道整復師」や「理学療法士」も考慮すべき資格です。
本記事では、これらの資格について養成校、登録者数、国家試験の合格率を含めて徹底比較します。
資格別の養成校、登録者数、国家試験合格率
資格 | 養成校数 | 修業年限 | 登録者数 2020-21年 | 国家試験 合格者数 2022年 | 国家試験 合格率 2022年 |
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あん摩マッサージ指圧師 | 25校 | 3年以上 | 118,103人 | 1,082人 | 84.7% |
はり師 | 93校 | 3年以上 | 126,798人 | 2,956人 | 74.2% |
きゅう師 | 93校 | 3年以上 | 124,956人 | 2,963人 | 76.1% |
柔道整復師 | 109校 | 3年以上 | 75,786人 | 2,740人 | 62.9% |
理学療法士 | 279校 | 3年以上 | 192,276人 | 10,096人 | 79.6% |
令和4年度版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-厚生労働省(22.7MB)
業務内容と活躍する場所
資格 | 業務内容 | 病院等 | 接骨院 | 治療院 |
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あん摩マッサージ指圧師 | 各種手技を用いて人体の変調を改善する | 〇 | 〇 | ◎ |
はり師・きゅう師 | 鍼または灸を使った刺激で自然治癒力を高める 病気の改善や予防・健康回復 | 〇 | 〇 | ◎ |
柔道整復師 | 打撲、捻挫、脱臼、骨折に対して代替医療を行う | 〇 | ◎ | 〇 |
理学療法士 | 医師の指示の下、診療の補助として運動療法や物理療法を行う | ◎ | × | × |
理学療法士はケガをした選手のリハビリテーションの専門家です。
柔道整復師は主に骨折・捻挫・脱臼・打撲等の「スポーツ外傷」の応急処置を行う専門家です。
それに対し、鍼灸マッサージ師はコンディション管理や疲労回復のためのケアを行う専門家です。
鍼灸マッサージ師は、ケガをした選手だけでなく、レギュラー選手やレギュラー争いをしている選手など、幅広い層をサポートできるのが特徴です。
チーム | 選手層 | 鍼灸マッサージ師 | 理学療法士 | 柔道整復師 |
---|---|---|---|---|
1軍 トップ | 中心選手 | ◎ | △ | ? |
2軍以下 サテライト セカンド | サブ選手 リハビリ選手 調整中選手 | ◎ ○ ◎ | △ ◎ ◎ | ? ? ? |
就業者統計データで比較
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagの調査結果をまとめます。
資格 | 就業者数 | 賃金 | 労働時間 | 年齢 | 求人賃金 | 有効求人倍率 |
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はり師・きゅう師 あん摩マッサージ指圧師 | 119,920人 | 423.4万円 | 162時間 | 37.7歳 | 25.5万円 | 0.83倍 |
柔道整復師 | 119,920人 | 423.4万円 | 162時間 | 37.7歳 | 26万円 | 3.31倍 |
理学療法士 | 143,490人 | 426.5万円 | 161時間 | 35.1歳 | 26万円 | 4.13倍 |
スポーツインストラクター | 70,330人 | 418.4万円 | 171時間 | 38.1歳 | 22.4万円 | 1.31倍 |
鍼灸マッサージ師と柔道整復師は、「その他の保健医療従事者」として算出されているため、今回の内容の場合は一部で同じ数値となっています。
また、参考までに、スポーツインストラクターを掲載しています。
ここでいうスポーツインストラクターは、健康運動指導士や健康運動実践指導者等の資格を保有し、フィットネスクラブの利用者にトレーニング機器の使用方法を教えたり、スポーツの実技を指導する職種です。
プロチームでの鍼灸マッサージ師の活躍
それぞれのトレーナー情報は過去の記事を参考にしてください。
プロ野球のトレーナーは約8割は鍼灸マッサージ師
上記の記事でも紹介していますが、トレーナーの保有資格は鍼灸マッサージ師が占めています。
Jリーグのトレーナーも大半が鍼灸マッサージ師
こちらも上記の記事で紹介していますが、J1およびJ2のトレーナーの調査した結果、6割以上が鍼灸師で、うち7割があん摩マッサージ指圧師の資格も併せ持っています。
チームに求められるマルチプレイヤー
プロチームは、経済的・管理的な観点から、幅広いスキルを持つ少人数の人材を求める傾向があります。
資格を複数保有することがトレーナーとしての競争力向上につながります。
学校選びのコツ
個人的におすすめは、「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」に加えて、「日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー」資格を同時に取れる学校に入ることです。
鍼灸マッサージの資格の取り方
鍼灸マッサージ師資格の取り方については、過去の記事を参照にしてください。
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー資格の取り方
JSPO-AT資格の取り方については、下記の記事を参考にしてください。
まとめ
プロチームでのトレーナーには、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師といった医療国家資格が欠かせません。
また、柔道整復師や理学療法士もケガのリハビリやスポーツ外傷への対応で求められる専門資格です。
現場での多様なニーズに応えるためには、複数の資格を持つ「マルチプレイヤー」が重宝され、実践的なスキルを学べる学校選びも重要となります。
資格取得を目指し、プロチームで活躍するための準備を進めましょう。
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