コレクティブエクササイズとは
Corrective(コレクティブ)とは、「矯正」や「修正」を意味します。
コレクティブエクササイズは、身体的弱点を補い、筋機能や可動性の改善を目指すエクササイズ方法です。
具体的には、以下のような弱点を改善するために行われます。
姿勢の偏り
筋のアンバランス
動作の機能不全
動作の代償(エラー動作)
様々なエクササイズの組み合わせ
コレクティブエクササイズは、筋のアクティベーション(筋の力発揮の促進)が中心ですが、モビリティエクササイズやスタビリティエクササイズと組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
また、ファンクショナルトレーニング(機能的トレーニング)と同義に扱われることもありますが、特に矯正や修正に重点を置いている点で異なります。
問題の特定と動作の修正
コレクティブエクササイズは、「問題の特定」と「動作の修正」という2つの基本ステップを通じて、身体機能の改善を目指します。
問題の特定
評価の段階では、以下の内容を問題がどこにあるのかをピンポイントで特定します。
前述の「筋のアンバランス、動作の機能不全、姿勢の偏り、動作の代償」を中心に評価します。
さらに細かく見ていくためには何が原因でこのような問題が生じているかを見つけることも重要です。
行動
癖
関節可動域制限
筋力低下
必要に応じて筋タイトネステスト、関節可動域測定、徒手筋力検査を多く用います。
動作の修正
問題が特定された後、次に修正アプローチを行います。
コレクティブエクササイズは通常のトレーニングと似ていますが、矯正や修正を目的とする点が主な違いです。
一般の人からアスリートまで、身体にアンバランスや逸脱が見られるケースが多く、これらのエラーを修正することが目標です。
代表的な例として、「Knee-in Toe-out」エラーを改善するために使われる「クラムシェル」などのエクササイズが挙げられます。
股関節の筋力を強化し、エラー動作を矯正することで、膝の怪我リスクを減少させます。
Knee-in Toe-out
スクワットやランジ、踏切り動作などの動作中に見られるエラー動作の一つで、膝が内側に倒れ、つま先が外側に向くことを指します。
クラムシェル
クラムシェル(二枚貝)は、両膝を曲げて開く動作で、中殿筋や深層外旋六筋(小殿筋、梨状筋などの股関節外旋に関わる筋群)をアクティベートします。
特に膝が内側に入る動作を修正し、股関節を強化します。
負荷が軽い場合は、エクササイズバンドを活用すると効果的です。
クラムシェルを正しく行うことで「Knee-in Toe-out」が改善されるか、確認しながら行いましょう。
日常に潜む悪い習慣とその改善
多くの姿勢の偏りや痛みは、悪い生活習慣や悪い癖(非効率な動作の繰り返し)から生まれます。
近年、スマートフォンを長時間使用することから生じる「テックネック(Tech Neck)」が問題視されています。
前傾姿勢が続くことで首の筋肉のアンバランスが生じ、猫背を引き起こします。
コレクティブエクササイズを取り入れることで、こうした習慣による影響を緩和できます。
コレクティブエクササイズ適用例
歩行障害、骨盤の傾き、産後のコンディショニングと活性化、高齢者の機能改善、ケガの後遺症
プレパレーションとして
プレパレーションとは、トレーニングやスポーツのメインプログラムに入る前に行う準備運動を指します。
これにより、身体がより動きやすい状態になり、パフォーマンスの向上やケガの予防に役立ちます。
プレパレーションには、モビリティエクササイズやスタビリティエクササイズ、アクティベーションエクササイズが含まれ、関節の可動域や筋の発揮を促すことで、効率的な動きが引き出されます。
また、筋温を上昇させ、心拍数を緩やかに上げることで、運動の準備段階を整えます。
まとめ
コレクティブエクササイズは、問題の特定と修正を繰り返すことで、筋のアンバランスや動作の代償といった弱点を改善する効果的な方法です。
特に姿勢の改善やスポーツパフォーマンス向上に役立つため、日常生活や運動の質を高めたい方に適したトレーニングと言えます。
ムーヴメント:Movement とは
スポーツにおけるムーヴメントとは、人の「動き」のことです。
パフォーマンスピラミッドでは、最下層のファンダメンタル(基礎)とパフォーマンスの間に存在する要素です。
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