今、アメリカでガスコンロの禁止が検討される理由
米国の連邦機関がガスコンロの禁止を検討しています。
その理由は、室内汚染による小児喘息リスクの増加です。
ある調査によれば、ガスコンロの使用が小児喘息の原因の12.7%を占めると報告されています。
この数値は、喫煙や受動喫煙によるリスクと同等とされています。
米連邦機関がガスコンロの禁止を検討している。
室内の汚染の一因であり、子どもの喘息(ぜんそく)を引き起こすとみられるためだ。
昨年12月、環境研究と公衆衛生に関する国際誌に掲載された調査によれば、屋内でのガスコンロの使用は子どもたちの間で喘息のリスクを高めることが分かった。現状で子どもが患っている喘息の約13%はガスコンロの使用に由来するという。
米連邦機関、ガスコンロの禁止を検討 – CNN.co.jp
小児喘息の12.7%がガスコンロ使用に起因する
米国における現在の子どものぜんそく(以下、小児喘息)の12.7%(95% CI = 6.3-19.3%)が、ガスコンロの使用に起因することがわかりました。
喫煙/受動喫煙に起因する小児喘息と同等レベルであることがわかりました。
なお、ここで紹介している論文の詳細は下記を参考にしてください。
Population Attributable Fraction of Gas Stoves and Childhood Asthma in the United States
この論文では、米国のアメリカ住宅調査、およびデータのある9つの州からデータを比較しています。
ガスコンロ使用率の高い州でリスクが高い
米国では35%の世帯で普及し、中でもカリフォルニア州やイリノイ州では68%に達しています。
子どものいる世帯に置き換えると、イリノイ州では79.1%がガスコンロを使用しているが、フロリダ州では9.1%程度にとどまっています。
今回の研究では、「ガスコンロのある家庭に住む子供の割合が高い州では、ガスコンロの使用がなければ理論的に防ぐことができる小児喘息の割合が高い傾向がある」といえます。
つまり「ガスコンロの使用率が減少すれば、小児喘息が減るかもしれない」ということになります。
これが、米連邦機関がガスコンロの禁止を検討している根拠です。
日本におけるガスコンロの普及率とリスク
日本では、ガスコンロの普及率が非常に高く、全体で73.3%、集合住宅では82.8%に達しています。
これは、アメリカで最も使用率が高い州よりも上回る数値です。
このため、日本でもガスコンロによる室内汚染が健康リスクを引き起こす可能性があります。
令和2年度家庭部門のCO2排出実態統計調査事業委託業務(令和2年度調査分の実施等)報告書 – 環境省(5.3MB)
健康リスクを減らすための取り組み
ガスコンロに起因する小児喘息の疾病リスクを減少させるためには、下記2つの取り組みが考えられます。
ガスコンロを電気コンロに置き換える
ガスコンロを電気コンロに置き換えることは、室内汚染を大幅に減少させ、小児喘息リスクを軽減する有効な方法です。
換気を十分に行う
換気は小児喘息のリスクの低減につながるようですが、完全な除去はできないようです。
また換気扇も性能によって屋外に排出されなかったり、燃焼汚染物質の除去に効果的でなかったり、単に換気扇を使用しない場合もあるようです。
実際、米国国民健康・栄養調査のデータによると、ガスコンロを使用している子どものいる家庭うち、換気扇を常に使用している家庭はわずか21.1%であったという報告もあります。
ガスコンロ使用中は換気扇を常に使用することで、リスク低減につながる可能性はあるといえるでしょう。
ガスの種類による影響
ガスコンロで使用されるガスの種類が喘息リスクに与える影響については、明確な結論が出ていません。
アメリカでは主に天然ガスが使われているようです。
日本国内においては都市ガスとLPガスの2種類があり、都市ガスは天然ガス、LPガスは液化石油ガスを使用しています。
日本の課題と今後の展望
日本では、ガスコンロの使用中止についての議論が進んでいないのが現状です。
しかし、科学的な根拠が示されている以上、今後の情報発信と政策の見直しが必要です。
健康リスクを減少させるため、電気コンロへの移行や適切な換気の徹底が求められます。
まとめ
ガスコンロ使用が小児喘息のリスクを高めるという科学的エビデンスは確立されています。
日本でもこのリスクを軽減するための対策が必要です。
本記事を通じて、ガスコンロの健康リスクとその対策について理解を深め、今後の生活に役立ててください。
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