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今回は、前回に引き続き小児喘息について紹介していきます。
先日ニュースで報じられていた時事問題です。
前回の記事、アメリカ連邦機関が「家庭のガスコンロ禁止」を検討しているという件について、さらに深く掘り下げていきます。
子どもの喘息に影響を与える因子
喘息の発生率は子どもに最も高く、何らかの対策がなければ有病率は上昇し続けると予測されています。
小児喘息に大きな影響を与える、一般的で改善可能な因子には下記のものがあげられます。
急性ウイルス性呼吸器感染症(RSウイルスやライノウイルス)
アセトアミノフェンや抗生物質の使用
帝王切開による出産
過体重、肥満
喫煙、受動喫煙
アレルゲン感作
※母乳育児
※胎児期の適量のビタミンD
※はリスクを低減させる因子です。
年代によって、危険因子が異なります。詳しく紹介します。
なお、ここで紹介している論文の詳細は下記を参考にしてください。
The impact of modifiable risk factor reduction on childhood asthma development
出生前の喘息の危険因子
出生前、胎児期の喘息発症に関する危険因子は下の図の通りです。
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最も危険因子が高かったのは喫煙です。
妊娠中の喫煙は、胎児の喘息のリスクを高めるだけでなく、低体重児 (2,500g未満) の出産、早産、 妊娠中の異常(破水、胎盤早期はく離、前置胎盤など)、 乳幼児突然死症候群(SIDS) のリスクが高くなります。
母親のストレスや、アセトアミノフェン(痛み止めの薬の成分)や抗生物質の使用も危険因子となっています。
ビタミンDを十分に摂取しておくことは、喘息発症の危険因子を下げる要因になっています。
乳児期(0~1歳)の喘息の危険因子
0~1歳の乳児期の喘息発症に関する危険因子は下の図の通りです。
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この年代はRSウイルスへの感染が最も高い危険因子となっています。
RSウイルス感染症は2歳までにほとんどの子どもが1度はかかる呼吸器疾患です。
2020年は新型コロナウイルス対策による行動制限などにより流行せず、その反動もあってか2021年に大流行しました。
またアセトアミノフェン(痛み止めの薬)や抗生物質の使用もリスクが高まることになっています。
母乳育児は、若干リスクを低減させる結果となっています。
幼児期(1~5歳)の喘息の危険因子
1~5歳の幼児期の喘息発症に関する危険因子は下の図の通りです。
![](https://eureka-sports.com/wp-content/uploads/2023/01/1-5-1024x436.png)
この年代は「食物感作」と「ライノウイルスによる喘鳴」がもっとも高い危険因子となっています。
食物感作とは、食物アレルギーや食物過敏症のことです。
ライノウイルスは風邪の原因となるウイルスで、成人の風邪の半数近くはライノウイルスが原因とされています。
鼻、のどといった上気道の炎症を起こし、頭痛・のどの痛み、鼻詰まり、くしゃみが主症状です。
ライノウイルス感染による喘鳴は、喘息のリスクを高めます。
また、このほかに、肥満や過体重といった因子や、交通による大気汚染も危険因子となっています。
学童期(5~13歳)の喘息の危険因子
5~13歳の学童期の喘息発症に関する危険因子は下の図の通りです。
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この年代では「喫煙、受動喫煙」、「ガスコンロ調理」、「運動不足」がもっとも高い危険因子となっています。
喫煙に関する問題や、ガスコンロの使用に関する問題は下記の記事でも紹介しています。
運動不足については、日常の中での身体活動量が関連しています。
身体活動量の低い子どもは、新たに喘息の症状が出るリスクが最大35%増加することがわかっています。
早歩き、ゆっくりとしたサイクリング、ランニング、水泳などの有酸素運動が推奨されています。
また、犬を飼っていることで、喘息のリスクを下げるとされています。
そのほか、リスクを低減させる因子の一つに、ヘリコバクターピロリ菌があります。
胃炎や胃潰瘍の原因となる菌で、幼少期に衛生環境が良くなかった年代に感染者が多く、衛生環境の良い現代では感染者数が低下しています。
乳幼児期に親族から口を介して感染している場合もあります。
今、アメリカでガスコンロの禁止が検討されている
室内の汚染の一因であり、子どもの喘息(ぜんそく)を引き起こすとみられるためだ。
現状で子どもが患っている喘息の約13%はガスコンロの使用に由来するという。
最新のエビデンスでアップデートしよう!
情報化社会によりネットであらゆる情報が錯綜しています。
エビデンスの確立された正しい情報を得るためにも、最新の論文などを読んでおくことをお勧めします。
下記記事に、海外の情報を収集する手法を掲載していますので、参考にしてください。
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次回は、小児喘息を予防する方法を紹介します。
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