アスレティックトレーナーとは
日本においてアスレティックトレーナー(AT)とは、主に日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)のことを言います。
JSPO-ATは主に下記の役割があります。
- スポーツ活動中の外傷・障害予防
- コンディショニングやリコンディショニング
- 安全と健康管理
- 医療資格者へ引き継ぐまでの救急対応
詳細は過去の記事をご覧ください。身近にいるアスレティックトレーナーを探す記事もあります。
日本の運動部活動のATは20~30%
高校運動部活動の指導者に対する調査研究では、7つの研究の平均は22.2%でした。
大学生(体育・スポーツ系学部所属)を対象とした調査研究の平均では32.4%でした。
私立高校や強豪校、競技目標の高い部活動など、競技レベルの高い高校でトレーナーの関与が大きい傾向がみられました。
また、常勤アスレティックトレーナーとの関わりがあった選手はわずか1%程度のようです。
アメリカの高校のATは70%
アメリカの公立高校の70%にはアスレティックトレーナーが勤務しています。
アスレティックトレーナーとの関わりをもつ高校生アスリートは86%に及ぶようです。
日本と異なる点は、私立高校の方がややATの関与が少ないようです。
また、常勤のATが関与している高校は38%と、日本とは比較にならないほどの普及率です。
72%の指導者が選手のケガの対応に困っている
以下、278名の各都道府県の高校部活動指導者を対象とした調査結果です。
選手にスポーツ傷害が発生した際、その対応や判断に困ることがあると回答した指導者は72%でした。
指導者のスポーツ傷害に対する知識や対応、判断については、指導者ライセンス取得や更新のための研修で行われていることも多いのです。
しかし、上記の結果より、十分な対応ができていない可能性が示唆されます。
トレーナーはケガの相談相手として最適
部活動に介入するトレーナーの活動内容は下記の順に多くみられました。
活動内容 | 毎回・たまに している割合の合計 |
---|---|
ケガの相談 | 99% |
個別トレーニング指導 | 93% |
ケガ人のリハビリ | 91% |
集団トレーニング指導 | 89% |
ケガの応急処置 | 83% |
スポーツ傷害が発生した選手の相談や、リハビリ、トレーニング、ケア(医療資格者に限られますが)の個別対応が最も多い結果でした。
ケガの有無に限らず、集団トレーニング指導も求められていることが分かります。
トレーナーがいると競技力が向上
トレーナーの介入による効果は下記の通りです。
部活動の変化 | そう思う・少し思う の割合の合計 |
---|---|
競技成績の向上 | 96% |
身体のケアを自ら行う選手の増加 | 94% |
ケガ人の減少 | 82% |
指導者自身の負担軽減 | 77% |
ケガの対応で困ることが減った | 71% |
指導者は競技成績の向上や選手の主体性の向上を最も実感しているようです。
個人的には、選手の主体性が向上した結果として、セルフコンディショニング能力が向上し、競技成績が向上したり、ケガが減少しているのではないかと考えます。
なぜトレーナーが採用されないか
トレーナー介入ができない理由 | 当てはまる・少し 当てはまる割合の合計 |
---|---|
謝金の確保が困難 | 85% |
早急に必要としていない | 81% |
困っていない | 65% |
適当なトレーナーがわからない | 65% |
雇用条件が合わない | 57% |
トレーナーを採用しない一番の理由は金銭面のようです。
78%のチームが有償(謝金あり)で契約しており、謝金の主な負担先は父母会(56%)や部費(33%)です。
1回あたりの謝金は10,001~20,000円(25%)、5,000円以下(25%)が最も多いという結果でした。
参考文献
今回は主に日本アスレティックトレーニング学会に掲載された2つの研究を参考にしました。
学校現場におけるアスレティックトレーナー介入事例—中学校・高等学校のスポーツ現場に関与する意義を考える—
高等学校運動部活動におけるスポーツトレーナー介入の実態に関する研究
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