この記事のトップアスリートの定義
ご存知の通り、トップアスリートと普通のアスリートとの明確な境界線はありません。
この記事の中でのトップアスリートを定義しておくことにします。
プロ球団等に所属している選手
個人競技のプロ選手
ナショナルチームに所属している選手(いわゆる日本代表選手)
以上が、この記事内の便宜上の定義です。
私と接点のあるアスリート、のべ1,000名あまりの規模での傾向です。
あくまでこれが全てだと思わず、参考にする程度にしていただければ幸いです。
トップアスリートの特徴
まずは、トップアスリートにみられる特徴を紹介します。
対照的に普通のアスリートは、この「特徴を持たない」「できていない」と捉えるのも良いでしょう。
自己管理能力が高い
とにかく体のセルフケア、セルフメンテナンスを徹底的に行います。
ストレッチやマッサージガンを使ったケアもかなり的確に行っていますし、アイシング用のアイスパックも自分で作製し、アイシングラップで巻いています。
チーム全体のウォームアップ前に個人でアップを始めていたり、チーム全体のクールダウンの後に個人でダウンをしています。
トップアスリートは至れり尽くせりのイメージが多いと思いますが、自分でできる範囲が広く、極力自分でできることを自分でやっています。
使う道具に対するこだわりが強い
アスリートは体の一部として道具を使うため、道具を大切に扱いますし、こだわりも強いです。
バットやグローブ、スパイクなど選手の使用している道具に触れる際は、必ず選手の許可を取りましょう。
好奇心旺盛
なんでも試してみようという思いが強いです。
新しいエクササイズや新しいツールも、本当に良いと思えば喜んで取り入れてくれます。
ただし、場合によっては「合わない」と判断するものもありますので、確かな情報を伝えていく必要があります。
身体感覚が鋭い
特に競技経験の長いベテラン選手や、調子の波に苦しんだ経験のある選手ほど、身体感覚が鋭い傾向にあります。
ちょっとした感覚の変化にも気づき、言語化します。
「すべて感覚でやっているので、言葉では表現できません」という選手は、若くて経験の浅い選手や、トップアスリートの中でも超天才肌といわれる選手はこのタイプです。
ケガや伸び悩みの壁を感じた経験のない選手に多い傾向があります。
競技の特徴が個性に強く反映されている
競技特性が個性をつくりあげているのか、個性が競技に向いていたのかはわかりませんが、この傾向はかなりあります。
瞬発系競技は活発な選手が多く、持久系競技には物静かな選手が多い印象です。
競技の話は細かい
競技の話になると、戦術や技術を事細かに話してくれます。
状況に応じた瞬時の判断力や、スキルの発揮など、高度なパフォーマンスを発揮できる理由が明らかになり、いつも驚かされます。
再現力が高い
お手本を示すと、すぐにお手本よりも上手に体を動かす選手が多いです。
指導されることに慣れている選手も多いためか、理解力や吸収力があります。
ただし、もちろんすぐに再現できない選手もいるため、その場合はじっくりと指導します。
質問上手
エクササイズや体のことなど、競技のためになることは、なんでも相談してきます。
最終的に自分のモノにできるまで何度も質問されます。
普通のアスリートと変わらない点
トップアスリートも普通のアスリートと変わらないことも多々あります。
コンディションの波
普通のアスリートと同じように、トップアスリートもコンディションに波があります。
調子が良いこともあれば、優れないこともあります。
ただし、トップアスリートの方がコンディションの波を重要な試合や大会に合わせることが上手です。
挨拶
スポーツ界に限らず、社会で良好な人間関係を築いていくために、「挨拶」はとても重要です。
トップアスリートも普通のアスリートも変わらず、スポーツマンとして気持ちの良い挨拶をしてくれます。
性格
個性のところでも紹介している通り、競技特性の違いはありますが、いわゆる「几帳面」、「おおざっぱ」、「うっかり屋さん」や「変わり者」がいることに違いはなく、トップアスリート集団も普通のアスリート集団もあまり違いを感じません。
トレーニングの好き嫌い
トレーニングに来ている選手を中心にみている限りは、トレーニングが好きな選手は非常に多いと思います。
しかし、裏を返せばトレーニングに来ていない選手もいるわけで、話を聞いてみるとトレーニングが嫌いな選手もいることは事実です。
指導者への不満
腹を割って話をしていくと、指導者への不満を持っている選手は多く存在します。
「あの指導の仕方はどうかと思う」「またコーチに怒られた」「こんな練習やる意味あるの?」など、指導者のグチをたくさん耳にします。
この特徴は、スポーツをしている身としてはトップであろうとそうでなかろうと変わらないのかもしれません。
トレーナーとして心がけていること
トップアスリートと普通のアスリートの違いを紹介しましたが、トレーナーとして心がけていることについて紹介していきます。
確かな情報を与える
好奇心が旺盛な選手が多いため、新しいものには関心が高い選手が多いです。
新しいツール(道具や用具)や新しいエクササイズなどについても関心を持ってくれます。
しかし、夢中になってしまい、他のことがおろそかになったり、間違った使い方でケガをしたりするなど、トラブルにつながることもあります。
サプリメントとドーピングのトラブルが絶えないのも、この傾向です。
いわゆる「使用上の注意」を細かく説明し、「正しい使用方法」や「適度な用法・用量」に納得した上で使い分けてもらいます。
身体感覚をすり合わせる
選手がどのように感じているか、どう変化したのか、トレーナー自身の感覚と細かくすり合わせていきます。
選手とトレーナーの感覚がマッチしていることがとても重要で、マッチしているということは、よい体の使い方ができている証拠でもあります。
よい体の使い方は、確実にパフォーマンスの向上やスポーツ傷害の予防につながっているはずです。
最新のスポーツ医科学の知見を得ておく
「調子が良いときはこうなのに、悪いときはこうならないんです。」
など、自分なりに分析をした上で質問してくる選手が多いです。
話をしながらスポーツ医科学的な視点でひも解いていくと「だからか!」「あーわかった!」と気づきにつながり、結局選手自身が解決させてしまうケースが多いです。
「うろ覚え」や「付け焼き刃」の知識は使いものになりません。
最新のスポーツ医科学の知見を得ておくことが重要です。
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