サッカーのヘディングによる頭部への衝撃 Vol.2|選手のスキルアップ戦略編

サッカーのヘディングによる頭部への衝撃 選手のスキルアップ戦略編 スポーツ現場
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この記事の要約

  • 頚部筋力が高いとヘディング中の頭部への衝撃が小さい
  • 頚部筋力トレーニングにより頭部への衝撃を減らすことができる
  • ヘディングは額を使って行うことで頭部への衝撃が少なくなる
  • ヘディング練習は額の高さでボールをキャッチするなどで代替するとよい
  • 頚部の筋力強化をウォームアッププログラムに導入すべき
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ナラティブ・レビューによる論文

ナラティブレビューとは、バイアスを最小限にするための手法(メタアナリシスやシステマティックレビューで用いる手法)を用いずに書かれた総説のことです。

エビデンスレベルでは、メタアナリシスやシステマティックレビューに劣ります。

今回は下記の論文を元にしています。

Where are We Headed? Evidence to Inform Future Football Heading Guidelines

ヘディングは脳の健康に影響するか

高頻度のヘディングがどのような影響を及ぼしているのかは、Vol.1で述べています。

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プレーポジション、経験、ヘディング技術

ヘディング中の頭部加速度は、額を使ってボールをヘディングする身体のポジショニングを改善するなどのテクニックの改善によって減少させることができることを裏付ける証拠がある。

ヘディングのテクニックを教えることは、将来のヘディングのガイドラインにとって重要で不可欠な戦略であるという考え方を支持しています。

サッカー組織のコーチングカリキュラムの中で、技術指導の内容、年齢、教育プロセスを考慮することは、発展させるための重要な戦略となります。

初心者は頭部の加速度が大きい

フロント・ヘディング動作中の異なるスキルレベルの選手について、減衰指標としての加速度比を算出した研究データは下記の通りです。

対象者平均比率
初心者5.0±1.8
上級者3.5±1.5
比率が低いほど、胴体の加速度に対して頭部の加速度が小さいことを表す

エリート選手は球速を上げるために首の筋肉を硬くするため、体幹が支持構造として働きます

トレーニング介入前後に頚部と肩から記録された筋電図(EMG)信号は、平均筋活動の大幅な増加(146%、p=3.39×10-6)を示しました。

これは、加速度比の大幅な減少(34.41%、p = 0.008)を伴っていました。

ヘッドとボールの平均衝突速度は1.95±0.53m/s(およそ7km/h)で、衝撃力は102±19Nであり、公表されている脳震盪力の13%でした。

頚部の筋肉の随意的な働きは、ヘディング中の頭部の孤立した動きを減少させます。

頚部筋力が高い選手は頭部への衝撃が小さい

最近のシステマティックレビューでは、最大等尺性頚部筋力が高いことと、サッカーにおける意図的なヘディング中の頭部衝撃の大きさが低いこととの関係を支持するエビデンスが示されています。

ヘディングに伴う頭部加速度の減少や傷害リスクを示した介入研究では、神経筋トレーニングプログラムの一部として頚部および全身のエクササイズが含まれていました。

対照的に、頭部加速度の減少を実証しなかった介入研究では、等尺性(仲間や自己抵抗のエクササイズを使用)または等張性の頚部エクササイズが採用されていました。

FIFA 11+やフットボール・オーストラリアのPerform+のような、より一般的な神経筋プログラムに統合するために、ヘディングに特化した頚部トレーニングプログラムを強調する必要があります。

頚部筋力強化トレーニングが効果的

最近のシステマティックレビューの結果では、部の筋力強化やエクササイズを含む傷害軽減エクササイズプログラムへの参加が、コンタクトスポーツのアスリートにおけるスポーツに関連した部や頚部の傷害や脳震盪の発生率を減少させる可能性があるという限定的なエビデンス(6研究)が示されている。

このレビュー論文では、バスケットボール、アメリカンフットボール、ラクロス、バレーボールなどの様々なアスリートに混じって、サッカー選手を対象とした3つの研究が含まれていました。

その結果、最大等尺性頚部筋力が高いアスリート、および特異的な頚部エクササイズを含むトレーニングプログラムを完了したアスリートにおいて、脳震盪の発生率が低いことが示された。

大学フットボール選手(n=29)および限定/非接触スポーツ選手(n=63)における頚部筋力と心理的苦痛との関係を調査した研究では、フットボール選手において頚部筋力が高いことは、、Brief Symptom Inventory-18の不安下位尺度(p=0.02)においてより良いスコアと関連していた(不安が少ない)ことが報告されています。

頚部の筋力が高いほど脳損傷が少ない

同じ著者らのグループによる、同じ参加者のサンプルを含む最近の研究では、サッカー選手において、頚部の筋力が高いほど無傷の白質組織が多いことと関連することが示されました。

これらの知見は、ヘディング中に発生する頭部の直線加速度や回転加速度を減少させることにより、脳への力の伝達を制限する上で、頚部の筋力が重要な役割を果たしていることを示唆する論文と一致しています。

このことは、神経損傷の可能性を減少させる可能性があるが、これをさらに追求するためにはさらなる研究が必要です。

選手のスキルアップ戦略まとめ

ヘディング・ガイドラインに向けた、プレーヤーのスキル開発に関する推奨事項は下記の通りです。

  1. すべてのコーチングカリキュラムの一部として、ヘディングテクニックの習熟を教えることの重要性を支持する証拠がある。ヘディングの練習は、ボールのトラッキングと体のポジショニングを教えるために、額の高さでボールをキャッチするなど、ボールと頭の接触なしに始めることができる。
  2. 頚部トレーニングプログラムは、リスクが低く、効果が高い可能性があることから、特に、最も効果が高いと思われる若年および思春期のアスリートにおいては、FIFA 11+やPerform+のパート2のような一般的な傷害軽減エクササイズプログラムに、頚部の神経筋エクササイズを取り入れることを検討すべきである。

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