はじめに
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律には、特定の資格保持者のみがその業務を行えるようにする「業務独占」の規定が設けられています。
本記事では「鍼灸マッサージ師」の業務独占について、該当する条文とその目的について詳しく解説します。
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(令和7年6月1日 施行)- eGOV法令検索
あはき師法における「業務独占」とは?(第十二条)
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律の第十二条には、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師以外の者が施術を行うことを禁止する「業務独占」が規定されています。
第十二条 「何人も、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師以外の者は、業としてあん摩、マッサージ、指圧、はり又はきゅうを行ってはならない。」
この規定により、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の資格を取得している者のみが、業としてこれらの施術を行うことが許可されています。
無資格者があん摩マッサージ指圧、鍼、灸などの施術を業として行うことが禁止されています。
これに違反した場合、無資格の施術者には罰則が科されることになります。
業務独占が定められている理由
業務独占は、患者の身体に触れたり、鍼や灸を使った施術において、高度な知識と技能を持つ者による適切な施術を求めるための規定です。
患者の安全性を守る
人体に直接影響を与える施術においては、誤った方法での施術が健康被害を引き起こす可能性があります。
あん摩マッサージ指圧師などの資格者は、専門的な教育と試験を経て認定されており、確実に安全な技術と知識を有しています。
施術がもたらす信頼性の向上
無資格者による施術にはリスクが伴い、その効果にも限界があります。
国家資格を持つ者のみが行う施術には、一定の効果が保証されており、安心して受けられるメリットがあるのです。
無資格者の罰則規定(第十三条の七)
第十三条では、無資格であん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの業務を行った者に対して、以下のような厳しい刑罰が規定されています。
第十三条の七:「あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの業務を資格なくして行った者は、五十万円以下の罰金に処する。」
この条文により、無資格者が行う特定の業務に対して、50万円以下の罰金が科されることが明確にされています。
具体的な各号の内容は法律に明記されており、これにより無資格者の業務を厳しく取り締まることができます。
この罰金額は、法律における安全性と信頼性の確保を目的としており、資格保有者が適正に業務を行うことを徹底させるための強い抑止力となっています。
法人や従業員による違反行為の罰則(第十四条)
第十四条では、法人の代表者や代理人、従業員が法人の業務として無資格で施術を行った場合、法人自体にも罰則が科されることが定められています。
第十四条 「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第十三条の八第一号又は第五号から第七号までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の刑を科する。」
この条文によれば、法人の従業員や代理人が無資格で施術を行った場合、その個人だけでなく、法人自体も同様の罰則を受けることになります。
これは、法人が従業員の適切な資格確認を怠った場合にも責任を負うことを意味しており、違反行為を行った従業員に対する罰金だけでなく、法人への罰則も適用されるため、企業全体での資格管理が求められます。
まとめ
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の「業務独占」は、患者の安全と信頼性を高めるための重要な規定です。
この法律により、資格を有する者のみが業として施術を行うことが許可され、患者が安心してサービスを受けられる環境が整っています。



令和7年6月1日 施行の変更点は以下の通りです。
第十三条の四、五、六
・旧:一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する
・新:一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する
コメント