世界では筋トレが推奨されている
世界の身体活動ガイドラインでは、成人に対して定期的な筋力強化のための活動(Strength Training:筋力トレーニング)を推奨しています。
最近のWHOガイドラインでは、成人は週2日以上の筋トレを行うことが推奨されています。
筋トレがなぜ良いか
定期的な筋トレは、以下のような効果があります。
18歳以上の成人を対象にしたシステマティックレビュー
今回紹介するのは下記の研究論文です。
18歳以上の成人を対象としたコホート研究のシステマティックレビューとメタアナリシスです。
筋トレ+有酸素運動で死亡リスクが40%低減
死因 | 相対リスク | 95% CI | 不均質性 | p値 |
---|---|---|---|---|
全死因 | 0.60 | 0.54-0.67 | 59.26% | 0.086 |
心血管疾患 | 0.54 | 0.41-0.70 | 82.55% | 0.089 |
すべてのガン | 0.72 | 0.53-0.98 | 84.76% | 0.001 |
大腸ガン | 0.80 | 0.59-1.09 | 82.67% | 0.016 |
筋トレと有酸素運動の組み合わせは、全死因死亡リスクを40%低減、心血管疾患による死亡リスクを46%低減することが明らかとなりました。
筋トレのしすぎも良くない?
ドイツの発生学者であったヴィルヘルム・ルー(Wilhelm Roux)は、生物学における基本原則「ルーの法則」を提言しました。
- 身体機能は適度に使うと発達する
- 身体機能は使わなければ委縮(退化)する
- 身体機能は過度に使えば障害を起こす
つまり、筋トレにも「適度さ」が必要であり、「やらない」のは良くないが、「やりすぎ」も良くないということです。
全死因死亡リスク低減には週40分がベスト
全死因死亡率を最も下げる筋トレ時間は週40分でした。
継続的な週40分の筋トレが死亡リスクを17%低減することが明らかになりました。
また、週140分で死亡リスク低減効果がなくなり、それ以上筋トレ時間が長くなると死亡リスクが上昇します。
心血管疾患死亡リスク低減には週60分がベスト
心血管疾患による死亡リスクを最も下げる筋トレ時間は週60分でした。
継続的な週60分の筋トレが心血管疾患による死亡リスクを18%低減することが明らかになりました。
また、週130分で死亡リスク低減効果がなくなり、それ以上筋トレ時間が長くなると死亡リスクが上昇します。
ガン死亡リスク低減には週60分がベスト
ガンによる死亡リスクを最も下げる筋トレ時間は週30分でした。
継続的な週30分の筋トレが心血管疾患による死亡リスクを9%低減することが明らかになりました。
また、週130分で死亡リスク低減効果がなくなり、それ以上筋トレ時間が長くなると死亡リスクが上昇します。
糖尿病死亡リスク低減には筋トレ時間が長い方が良い
糖尿病による死亡リスクを下げるには週の筋トレ時間が長い方が良いという結果でした。
継続的な週60分の筋トレが糖尿病による死亡リスクを17%低減することが明らかになりました。
エビデンスの質は低い~非常に低い
なお、各疾患による死亡リスクのエビデンス質については、「低い」から「非常に低い」と評価されています。
詳細は、論文を参考にしてください。
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