JSPO-ATだけで生計を立てるのは難しい
今回は日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の年収についての記事です。
結論から申し上げますと「JSPO-ATだけで生計を立てるのは難しい」と考えます。
本記事の下部にもありますが、非常に多くのJSPO-AT資格者がそう感じていることが明らかになりました。
本サイトでは、雇用機会を拡大するためにも、収入を得る手段としても、JSPO-ATとともに医療系資格を同時に取得することを推奨しています。
JSPO-ATマスタープランを参考
上記の調査結果をもとにしました。
この調査は2021年3月にJSPO-AT資格保有者(当時4,477名)に対して行われたアンケート調査です。
この調査の有効回答数は1,022名(22.2%)でした。
ちなみに私は2010年に行われた調査、2021年に行われた調査ともに回答に協力しています。
年収は501万円~600万円
JSPO-AT資格保有者の個人の平均年収(税込)の回答は下記の通りです。
- 501-600万円 15.4%
- 401-500万円 13.4%
- 301-400万円 12.6%
- 201-300万円 12.5%
- 601-700万円 12.1%
注意点は、JSPO-AT活動以外の活動も含まれているという点です。
トレーナー活動のみの年収は100万円以下が4割
アスレティックトレーナー(JSPO-AT)活動による年収(税込)の回答は下記の通りです。
- 1-100万円 39.4%
- 301-400万円 10.5%
- 201-300万円 8.7%
- なし 7.5%
- 101-200万円 7.1%
報告書によると、JSPO-AT活動の4割強がボランティアであると結論付けています。
半数近くは1週間あたり10時間の活動
- 10時間以下 47.0%
- 31-40時間 15.0%
- 11-20時間 12.2%
- 41-50時間 8.9%
- 51-60時間 6.4%
半数近くが週10時間以下と回答しています。
このことから、ほとんどが週1~2回の活動程度であることが予想されます。
7割はJSPO-AT以外の資格で稼いでいる
JSPO-ATとしての活動の雇用形態に関する回答は下記の通りです。
- パートタイム 32.5%
- フルタイム 30.3%
- 現在は行っていない 15.1%
- ボランティア 11.8%
- 活動したことがない 10.4%
フルタイムで活動しているJSPO-ATは30.3%しかいないようです。
つまり、残りの69.7%はパートタイムやスポット、ボランティア、他業種で生計を立てていることがわかりました。
7割のJSPO-AT資格保有者はどのように生計を立てているのでしょうか?
4割は鍼灸師、3割はマッサージ師
JSPO-ATとともに保有している資格(複数回答)について、回答数順に並べると下記の通りです。
- はり師 39.6%
- きゅう師 39.6%
- あん摩マッサージ指圧師 29.0%
- 教員免許 27.0%
- 理学療法士 20.0%
- 柔道整復師 18.4%
生計を立てるのが難しい
「現在あなたが感じる日本におけるトレーナーの問題点についてお答えくださいい(JSPO-ATに限定しない)」という設問に対する自由記述回答をとめると下記の通りとなっています。
社会的認知度が低く、雇用が少ない上に給与・報酬が少なく生計が立てられないという切実な問題点が浮き彫りとなっています。
医療国家資格者の年収は450万円程度
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagの調査結果をまとめます。
資格 | 就業者数 | 賃金 (年収) | 労働時間 | 年齢 | 求人賃金 (月額) | 有効求人倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|
はり師・きゅう師 あん摩マッサージ指圧師 | 118,210人 | 443.3万円 | 162時間 | 39歳 | 25.7万円 | 0.82倍 |
柔道整復師 | 118,210人 | 443.3万円 | 162時間 | 39歳 | 26.3万円 | 3.60倍 |
理学療法士 | 202,540人 | 430.7万円 | 161時間 | 34.7歳 | 26.2万円 | 4.21倍 |
賃金・労働時間・年齢(出典:令和4年賃金構造基本統計調査)
求人賃金・有効求人倍率(令和4年ハローワークの求人より算出)
鍼灸マッサージ師と柔道整復師は国勢調査上、「その他の保健医療従事者」として一括りにされているため、就業者数、賃金、労働時間、年齢は同じ数値となっています。
前回の調査と比較すると、理学療法士の就業者数が著しく増えています。
トレーナー類似職種の年収は380万円
参考までに、医療国家資格に該当しない「スポーツインストラクター」と「アロマセラピスト」、「リフレクソロジスト」を紹介します。
資格 | 就業者数 | 賃金 (年収) | 労働時間 | 年齢 | 求人賃金 (月額) | 有効求人倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|
スポーツインストラクター | 70,110人 | 383.8万円 | 169時間 | 36.9歳 | 22.6万円 | 1.42倍 |
アロマセラピスト リフレクソロジスト | 456,590人 | 381.9万円 | 165時間 | 42.2歳 | 21.8万円 | 1.14倍 |
賃金・労働時間・年齢(出典:令和4年賃金構造基本統計調査)
求人賃金・有効求人倍率(令和4年ハローワークの求人より算出)
スポーツインストラクターは、主に健康運動指導士や健康運動実践指導者等の資格を保有し、フィットネスクラブの利用者にトレーニング機器の使用方法を教えたり、スポーツの実技を指導する職種です。
アロマセラピストは、アロマセラピー検定(民間資格)などを保有し、美と健康の維持・増進を目的に、精油をブレンドしたアロマオイルを使ってトリートメントを行う職種です。
リフレクソロジストは、主に手指を用いて足の裏や手、耳を刺激する施術を行い、健康を維持し、疲労回復を助ける職種です。特に学歴や資格は必要とされませんが、ほとんどの人が民間資格を保有しています。
医療系資格を取得しておいた方が良い
JSPO-ATやS&Cコーチなどの間でも意見は分かれるところですが、本サイトでは医療資格を取得することを強くおすすめしています。
JSPO-ATだけで生計を立てるのは難しいからです。
トレーナーも雇用や金融のリテラシーを
知らないうちに損していた!?ということもしばしば。
気づいたとき、知ったとき、思い立ったときが吉日!
いろいろと勉強しておきましょう!
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